2006 Fiscal Year Annual Research Report
生理活性色素タンパク質複合体の再構成:クロロフィルから見た動的形成過程の追跡
Project/Area Number |
17750167
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
溝口 正 立命館大学, 理工学部, 講師 (90343665)
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Keywords | クロロフィル / アンテナ複合体 / 光合成細菌 / 自己集積 / 超分子 |
Research Abstract |
本研究は、光合成系で見られる生理活性色素タンパク質複合体(特に光捕集アンテナ部)の再構成/色素交換法による動的形成過程の追跡と、様々なクロロフィル誘導体の導入による新規な光応答性タンパク質の構築を目的とした。 自然界に存在するほとんどすべてのクロロフィル色素は、その17位に長鎖エステルを有している。高等植物で見られるクロロフィル-aや紅色細菌で見られるバクテリオクロロフィル-aではフィチル基(C20)が、緑色細菌のバクテリオクロロフィル-cではファルネシル基(C15)が結合しているのが一般的である。これらの長鎖エステルは、クロロフィル分子のπ共役系と直接結合していないため光特性に影響を与えず、あまり着目をあびていなかった。しかしながら、これらの長鎖エステルは、クロロフィル色素の分子量の約3分の1を占める重要な構成部品であり、色素タンパク質複合体(アンテナ複合体など)の構造安定化剤として機能していることが示唆されている。 色素タンパク質複合体の再構成を通し、クロロフィル色素の17位エステル鎖が色素とタンパク質の複合化に大きく寄与することが判明した。そこで、紅色光合成細菌における17位エステル鎖の異なるバクテリオクロロフィルの分布と多様性、緑色光合成細菌における17付エステル鎖の異なる新規バクテリオクロロフィルの合成とその自己集積への影響、という観点からの研究を行い、17位エステル鎖の生理学的機能に関して十分な成果が得られた。今年度得られた研究成果は、学術論文9報、国際学会報告5件、国内学会報告11件という形で公表した。
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Research Products
(9 results)