2005 Fiscal Year Annual Research Report
面状のアクティブエリアを持つ新規縦型有機トランジスタの開発
Project/Area Number |
17750180
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中山 健一 大阪大学, 工学研究科, 助手 (20324808)
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Keywords | メタルベース有機トランジスタ / 有機トランジスタ / フレキシブルディスプレー / 有機半導体 / 有機EL / アクティブマトリックス |
Research Abstract |
近年、有機トランジスタを用いたフレキシブルディスプレーの試作が行われているが、現在主流の電界効果型トランジスタ(FET)構造では、変調電流量が小さい上に数十ボルトの駆動電圧が必要であり、有機ELの大電流を駆動することは難しい。我々は、単純な半導体/金属/半導体の積層構造で低電圧・大電流動作が可能な縦型有機トランジスタとして、「メタルベース有機トランジスタ(Metal-Base Organic Transistor,MBOT)」を提案し、その研究を行っている。 本年度は、エミッタ電極の依存性について検討を行い、仕事関数の小さい金属を用いて電子注入を促進してやることにより、大幅に変調電流量が増加することを見出した。特に、エミッタ電極としてLiF/Alを用いた場合には、駆動電圧3.0V、制御電圧わずか1.25Vで、250mA/cm^2もの大電流変調を達成した。 また、これまで不明であったMBOTの動作メカニズムに関する手がかりを得るために、中間ベース電極のTEM観察を行い、ベースアルミ電極の表面被覆率を測定した。その結果、ベース電極は有機膜のほぼ全面を面状に覆っており、エミッタからの電子がベース内部を透過していることを確認した。この知見に基づいてMBOTの動作メカニズムに関する考察を行い、金属中を電子が弾道電子として透過するホットエレクトロン機構を提案した。 さらにMBOTの、有機ELディスプレーにおける駆動トランジスタとしての性能を評価した。両者を直列に接続した回路で変調特性を測定したところ、トータル電圧14Vの時に、制御ベース電圧4Vを印加することにより、1200cd/m^2の輝度変調を得ることができ、通常の有機FETよりもはるかに低電圧で駆動できることが分かった。また、遮断周波数は約20kHzと、実用上十分な高速駆動が可能であることが分かった。
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Research Products
(5 results)