2005 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素系液晶ゲル化剤を前駆体とする高エネルギー密度有機ゲル電解質の開発と応用
Project/Area Number |
17750181
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
岡本 浩明 山口大学, 工学部, 助手 (10274185)
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Keywords | 液晶 / 有機ゲル化剤 / 合成 / ナノ構造 / 電子顕微鏡 / 分子集合体 |
Research Abstract |
本研究では、高エネルギー密度有機ゲル電解質への応用を目指して、液晶性有機ゲル化剤の開発してきた。従来の低分子量有機ゲル化剤は、分子間水素結合をゲル化の駆動力としているため、高い駆動電圧を必要とする高エネルギー密度有機電解液のゲル化には適さない。一方、本研究課題で開発する有機ゲル化剤は、水素結合性官能基を分子内に持たないため、高い駆動電圧が必要とされるリチウムイオン電池への応用に適し、さらに、多様な極性有機溶媒をゲルすることができる。そこで、本年度は以下の点について検討し、有用な知見を得た。 1.フッ素系有機ゲル化剤の分子構造の修飾とゲル化能との構造相関の解明 ペルフルオロアルキル鎖を持つ有機ゲル化剤を合成し、それらのゲル形成能を検討した。有機ゲル形成には、ペルフルオロアルキル基が極めて重要であり、ペルフルオロ炭素鎖の伸長に伴い、有機溶媒への溶解性は低下するものの、ゲル形成能は高くなる。ところが、分子中央部へのフッ素置換基の導入により、ゲル形成能は低下する。一方、分子末端位への長鎖アルコキシ基の導入により、有機溶媒への溶解性とゲル形成能は高くなることが分かった。これらの結果から、有機溶媒への溶解性とゲル化能を両立した有機ゲル化剤の分子構造は、一般的な液晶材料と同様に、分子の幾何的な異方性の大きな分子構造が必須であることを解明した。 2.有機ゲルのナノ構造解析と液晶構造の解明 液晶性有機ゲル化剤を用いて各種有機溶媒をゲル化した有機ゲルを乾燥ゲル(キセロゲル)へ導き、これらを走査電子顕微鏡観察により、ナノ繊維構造の解析を行った。光学活性な有機ゲル化剤から形成したナノ構造は、螺旋構造を形成していることが分かった。さらに、これらの有機ゲル化剤の液晶相における小角X線回折測定と半経験的分子軌道法計算の結果から長周期構造の解析により、分子集合体形成に関する有用な知見を得ることができた。
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Research Products
(4 results)