2005 Fiscal Year Annual Research Report
有機電界効果トランジスタのn型特性出現機構の解明とその高性能化に関する研究
Project/Area Number |
17750182
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安田 剛 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 助手 (30380710)
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Keywords | 有機FET / 有機半導体 / ambipolar / フタロシアニン / ペンタセン |
Research Abstract |
現在までにp型と考えられてきた有機半導体(ペンタセン、CuPc)に電子注入に適したCa電極を用いて、電子、正孔輸送どちらのモードでも駆動する有機FETの作製に成功している。これまで様々な材料を同様の方法で探索する中で、p型と考えられていた材料でも高い電子輸送性を有する、全く電子輸送性を有しない等、結果は様々であった。本研究の目的は「p型有機半導体を用いた有機FETの電子輸送性の差は何に由来するのか」を解決し、さらにそのn型特性の向上を目指すことにある。 今年度はambipolar輸送性を示す材料として金属フタロシアニンに注目した。前年度に用いたCuPcを代表として、金属フタロシアニンは中心金属を変えることで、そのHOMO-LUMOのエネルギーギャップが大きく変化する。そのため、正孔、電子両方の電荷注入が必要なambipolar有機FETの特性に大きく影響することが予想される。今年度は高性能のambipolar有機FETの作製を目指し、6種類のフタロシアニンを用いたFET特性を評価した。 Ca電極を用いることで全てのM-Pc FETでn-channel、p-channel(ambipolar)駆動が可能であり、飽和電流より移動度を導出することが出来た。これまでp型有機半導体としてのみ評価されてきたM-Pc(H_2Pc、FePc、CuPc、ZnPc、PbPc、TiOPc)においても電子輸送性を有していることが分かった。一番バンドギャップが小さい(1.1eV)PbPc薄膜を用いたFET(Caソース・ドレイン電極)をグローブボックス内で12時間、100℃でアニールしたところ、トランスファー特性がゲート0Vを軸にほぼ対称となるambipolar有機FET特性が得られた。その移動度は正孔1.8×10^<-3>cm^2/Vs、電子2.0×10^<-3>cm^2/Vsであり、両方の電荷移動度が10^<-3>cm^2/Vsを超える高性能ambipolar有機FETの作製に成功した。
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