2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属-ジオンジオキシマート錯体を用いた新しい高圧力センサーの開発
Project/Area Number |
17750186
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
武田 圭生 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (70352060)
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Keywords | 一次元金属錯体 / 高圧力センサー / 圧力インジケーター / 薄膜 / 粉末X線回折 / 吸収スペクトル |
Research Abstract |
金属-ジオンジオキシマート錯体は中心金属が一次元的に配列する興味深い構造を持つ。これらの錯体は加圧により顕著に色を変化させるので、逆に色から圧力を求める圧カインジケータになる可能性がある。また、大気圧下において絶縁体であるが加圧すると電気抵抗率を急減させる。白金-ジメチルグリオキシマート錯体は加圧により抵抗率が17桁もの著しい変化を示す。このような性質は抵抗圧力計として利用できる可能性を示している。白金錯体の薄膜は基板により配向の方向を変える事が知られている。石英、サファイア及びダイヤモンドなどの絶縁性透明基板上に薄膜を作成し、電気的・光学的性質の圧力依存性を研究し、最適な基板を決定して高圧力センサーデバイスを開発する事を目的とする。 本年度は昨年度に引き続きPd-ジメチルグリオキシマート錯体[Pd(dmg)_2]を合成し高圧下において粉末X線回折及び電子スペクトルの研究を行った。Pd(dmg)_2はそれぞれK_2PdCl_4の飽和水溶液をジメチルグリオキシムの熱飽和エタノール溶液に加えて合成を行った。Pd(dmg)_2錯体の薄膜は真空蒸着法を用いてダイヤモンドアンビル上に蒸着し作成した。高圧下における粉末X線回折は高エネルギー加速器研究機構の放射光研究施設BL18Cにおいて測定した。電子スペクトル測定は顕微測光装置を開発して行った。 Pd(dmg)_2の粉末X線回折プロファイルから格子定数を算出すると、加圧により各軸は単調に減少した。しかし圧縮率は軸毎に異なり異方的に圧縮されることが見出された。金属が一次元的に連なる鎖に沿ったc軸が最も縮みやすく、次いでa軸、b軸の順になる。 Pd(dmg)_2薄膜は450nm付近に中心金属の4d-5p遷移に基づく吸収帯を持つ。4d-5p遷移の吸収帯は加圧により長波長側に大きくシフトする。6GPaでは4d-5p遷移エネルギーが1気圧のそれよりも約9000cm^<-1>(約1.1eV)低下した。これは、c軸方向が大きく縮むことによりPd-Pd間の距離が接近することに密接に関係している。また、加圧によりPd(dmg)_2薄膜の色が黄色→赤→紫→青というように連続的に変化した。これは4d-5p遷移による吸収帯の圧力シフトに基づくと考えられる。
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Research Products
(3 results)