2005 Fiscal Year Annual Research Report
色素増感酸化チタンナノ結晶光電極界面における逆電子移動の機構解明と抑制
Project/Area Number |
17750187
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
柳田 真利 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究員 (60358215)
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Keywords | 色素増感 / 酸化チタン / ナノ結晶 / 電子輸送 / 電子移動 / 電極界面 / 色素増感太陽電池 |
Research Abstract |
色素増感TiO_2ナノ結晶光電極においてTiO_2から電解液中のI3^-への逆電子移動の抑止を達成するため、本年度は逆電子移動過程の機構解明を行った。種々の増感色素について色素増感太陽電池(DSSC)を作製しTiO_2中の電子の拡散定数(D)とTiO_2から電解液中のI3^-への逆電子移動速度定数(TiO_2中の電子寿命(τ))を励起光変調光電流分光法と励起光変調光電圧分光法により求め、逆電子移動過程の増感色素依存性について検討した。その結果、下記の(1)と(2)の成果が得られた。 (1)増感色素に依存したTiO_2の伝導帯端(E_<cb>):[NBu_4]_2[cis-Ru(Hdcbpy)_2(NCS)_2](N719;[NBu_4]^+=tetrabutyl ammonium cation;H_2dcbpy=4,4'-dicarboxy-2,2'-bipyridine)と[NBu_4]_2[Ru(Htcterpy)(NCS)_3](B-dye;H_3tcterpy=4,4',4''-tricarboxy-2,2':6',2''-terpyridine)についてDSSC特性を検討し、N719とB-dyeについてDやτに差がないことがわかった。B-dyeが吸着したTiO_2のE_<cb>はN719より約50mV正に位置し、B-dyeのDSSCにおける光開放電圧(V_<oc>)がN719よりも小さくなる原因であることを新たに明らかにした。本成果は報告者が指導した東京理科大学の学生を論文筆頭者としてChemistry Letterに論文発表した。 (2)増感色素に依存した逆電子移動:励起状態のエネルギー準位(E_<ox>^*)がN719より正にある[NBu_4]_2[cis-Ru(Hdcbiq)_2(NCS)_2](BQ;H_2dcbiq=4,4'-dicarboxy-2,2'-biquinoline) をTiO_2上に吸着させたDSSCはN719よりτが短くなり、TiO_2中の電子がBQを介してI_3^-と反応し、V_<oc>が減少することがわかった。またSQとN719をTiO_2上に共吸着させてDSSCを作製した。少量のBQを吸着するだけでτが大幅に短くなり、V_<oc>が減少することがわかった。BQとN719を共吸着させたTiO_2中において電子はランダムに動かず、BQへと選択的に移動し、I_3^-と反応してしまうことを見出した。本内容は2本の論文にまとめ、投稿中である。 これまで、TiO_2ナノ結晶中の電子拡散とTiO_2からI_3^-への逆電子移動についてTiO_2の特徴(粒子径、粒界の接合状態、空孔率な勘や電解液(組成や濃度)に依存することが知られているが、本検討成果(1)と(2)により、増感色素や逆電子移動やTiO_2のEcbに影響を与えることが初めてわかった。今後、増感色素とDSSCの特性(E_<cb>や逆電子移動過程)の関係を詳細に検討し、増感色素に逆電子移動を抑止する機能を付与する試みを行う。
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Research Products
(1 results)