2005 Fiscal Year Annual Research Report
化学浴析出法による高分子膜上での酸化亜鉛薄膜の低温合成
Project/Area Number |
17750194
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
伴 隆幸 岐阜大学, 工学部, 助教授 (70273125)
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Keywords | 酸化亜鉛 / 化学浴析出法 / プラスチック基板 / ソフト溶液プロセス / 低温結晶化 / 薄膜 |
Research Abstract |
ゾルゲル法などの溶液法によるセラミックス薄膜合成が広く研究されているが、ゾルゲル法では溶媒としてアルコールが用いられることや、高温での熱処理が必要であることが問題点である。そこで本研究では、亜鉛成分を含む水溶液から、100℃以下の温度で結晶性の酸化亜鉛の膜を作製することを目的とした。また、低温での膜作製の利点として、耐熱性のないプラスチックが基板として使えることがあるので、プラスチック基板上への酸化亜鉛膜の作製を主に検討した。ここではポリエステル系プラスチックであるアクリル板を用い、エステルの加水分解による表面近傍でのpH低下を利用して、基板表面に酸化亜鉛を析出させることを検討した。そのためにまず、pHの低下により酸化亜鉛が析出することが期待できる亜鉛酸水溶液を調製し、その溶液からの酸化亜鉛の析出に対するpHや温度の影響を調べた。その結果、25℃では安定だが、60℃で酸化亜鉛が析出する亜鉛酸水溶液が調製できた。また、析出した酸化亜鉛結晶の形態は、pH変化に伴い、板状から柱状に変化することも分かった。次に、これらの水溶液にアクリル板を浸漬して60℃で加熱し、アクリル板表面での酸化亜鉛の析出を観察した。その結果、酸化亜鉛が特定の配向性をもって析出し、その配向は水溶液のpHに伴い変化した。つまり、板状結晶が析出する水溶液と、柱状結晶が析出するものとでは、析出する酸化亜鉛結晶の形態や配向性も異なると分かった。しかし、酸化亜鉛と基板との吸着力が弱いことや、基板表面が完全に酸化亜鉛によって覆われないという問題が生じた。そのため、基板表面に、酸化亜鉛と親和性の高そうなポリマーをコートすることなどを検討したが、大きな改善は認められなかった。今後、溶液の調製条件などを変えて、酸化亜鉛の不均一核生成を促進することや析出した膜の薄膜化により、これらの問題を解決することを試みる。
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