2005 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を用いた芳香族ポリアミド微粒子の創製およびその機能制御
Project/Area Number |
17750209
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Research Institution | Industrial Research Institute of Osaka Prefecture |
Principal Investigator |
吉岡 弥生 大阪府立産業技術総合研究所, 化学環境部, 主任研究員 (00359407)
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Keywords | 芳香族ポリアミド / 高分子微粒子 / ナノ材料 / 超音波 |
Research Abstract |
芳香族ジアミンと芳香族ジ酸クロライドを水を含むアセトン中超音波照射しながら沈澱重合することによって、ナノサイズの芳香族ポリアミド微粒子が得られた。そこで、様々な反応条件を検討したところ、ジアミン、ジ酸クロライドおよび反応溶媒の組み合わせを変えることにより、様々な結晶性やモルフォロジー(襞状、真球状、パイ状など)を有する芳香族ポリアミド微粒子(粒径:50nm〜1μm)が生成することが分かった。一方熱分析(TG/DTA)より、これら粒子の熱分解温度(5wt%loss)はすべて450℃以上を示し、非常に優れた耐熱性を示した。このとき融点は示さなかった。 また本反応系では、水の添加が必要不可欠であった。そこで、特に水の役割に着眼し反応メカニズムの解明を行った。まず、水の添加量を変化させることによって得られたポリアミドについて、SEMによる形態観察を行った。その結果、水の添加量の増加に伴い、粒子径は小さくなる傾向が見られ(水を添加しない場合は、不定形)、球状粒子の形成は、反応溶媒とさらに添加する溶媒との総合的な極性に大きく影響を受けることが分かった。このようなことから、水には反応溶液の極性を調整する働きがあるものと考えられる。次に、これらポリアミドについて、熱分析(TG/DTA)および赤外分光分析を行った。その結果、水の添加量の増加に伴い、熱分解温度は増加し、赤外分光分析から評価したNHCO/NH_3Clのバンド強度比も増加していく傾向が見られた。これらより、NH_2(アミノ基)とHClから形成される塩の生成量は水の添加量に伴い減少し、NHCO(アミド)結合は増加、すなわち分子量は増加しているものと考えられる。このようなことから、水にはアミンと酸クロライドの反応により発生したHClを反応系から除去するような反応促進剤的な働きもあると考えられる。
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