2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体シリコンナノ細線の創製・配列・機能制御と単一ナノ物性評価
Project/Area Number |
17760003
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
深田 直樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 若手国際研究拠点, 主任研究員 (90302207)
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Keywords | ナノ材料 / 量子細線 / 量子閉じ込め / 半導体物性 |
Research Abstract |
ボトム・アップ手法であるレーザーアブレーション法を用いて半導体一次元シリコンナノ細線の生成とサイズ制御について研究を行った。その結果、レーザーアブレーションにより、結晶品質の高いシリコンナノ細線を比較的容易に形成できた。また、レーザーアブレーションの実験パラメーターによりシリコンナノ細線の径の制御が可能であることもわかった。 熱酸化による応力誘起とそれによる酸化の自己停止に関して研究を行った結果では、圧縮応力によるシリコン光学フォノンピークの高波数シフトと酸化自己停止によるフォノンピークシフトの停止を観測することができた。この結果により、酸化の自己停止を利用することによりシリコンナノ細線中のシリコン結晶コア径の制御が可能であることがわかった。800℃で熱酸化を行った場合には、シリコン結晶コア径は約8nmで自己停止することがわかった。また、1000℃で熱酸化を行った場合には、シリコンナノ細線中のシリコン結晶コア径の最小値は約3nmにまで減少することがわかった。以上の場合の圧縮応力の下限値をバルクシリコンの場合には得られた関係式により見積もった結果、約70-200MPaの範囲にあることがわかった。この熱酸化膜形成により発生した圧縮応力は、フッ化水素酸で表面をエッティングすることにより取り除けることもわかった。 さらに、シリコンナノ細線中のフォノン閉じ込め効果についても調べた結果、熱酸化に伴う連続的な結晶コア径の減少によるフォノンピークの低波数シフトとブロードニングを初めて観測することに成功した。観測されたピークシフトとブロードニングから推定されるシリコン結晶コア径と実際に透過電子顕微鏡により観測されたシリコン結晶コア径とは良い一致を示していることがわかった。
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