2006 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ波電気伝導度の実空間イメージングによる強相関物質のマクロ相分離の研究
Project/Area Number |
17760004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北野 晴久 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助手 (00313164)
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Keywords | 金属探針 / 電磁界解析 / 高温超伝導体 / 電子ドープ系 / マクロ相分離 |
Research Abstract |
本年度は,前年度に行った電磁界解析に基づいて金属探針プローブの設計を行い、試作機の製作に着手したが、現有のxyzステージでは潤滑剤を用いても低温環境での微小駆動は非常に困難であることが判明した。また、ネジやギヤなど機械的運動機構を利用した低温用微小駆動ステージを自作した場合、実現可能な精度は高々50〜100ミクロン程度であることが判明し、自作ステージだけで1ミクロンの空間分解能を達成するのは極めて困難なことも分かった。残る手段として低温駆動可能な専用のピエゾアクチュエーターを購入し、これを用いた試作機を現在作製中である。 強相関物質のマクロ相分離に関連して、前年度にゼロ磁場下で行った高温超伝導体La_<2-x>Sr_xCuO_4(LSCO)薄膜のマイクロ波電気伝導度の周波数依存性測定を有限磁場下でも行い、電子相図に現れる特異な次元交差の起源を詳細に調べた。さらに、超伝導相と反強磁性絶縁体相が相図上で隣り合っているために、マクロ相分離の可能性が非常に高い電子ドープ系のLa_<2-x>Ce_xCuO_4(LCCO)薄膜に対しても同様な測定を開始した。超伝導転移温度T_cが最大となる最適ドープ組成に近い試料に対して、ゼロ磁場下での超伝導揺らぎをマイクロ波電気伝導度の周波数依存性から解析し、3次元XY的な臨界挙動を観測することに成功した。また、強磁場中でLSCO系とは異なる常伝導成分の強い磁場依存性を観測した。現在、この振舞いが超伝導相と反強磁性相のマクロ相分離に関連する振舞いかどうかを慎重に吟味している。 最後にマイクロ波応答による実空間イメージングに向けて、1ミクロン四方程度の非常に小さい固有ジョセブソン接合素子に対するマイクロ波照射効果を調べ、極低温下で形成される離散化量子準位の観測に成功した。
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Research Products
(5 results)