2005 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性金属から有機電界発光分子へのスピン注入によるスピン偏極発光に関する研究
Project/Area Number |
17760009
|
Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
仕幸 英治 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (90377440)
|
Keywords | スピンエレクトロニクス / 強磁性体 / 有機EL素子 / 磁場 / スピン注入 / トンネル障壁 / スピン拡散長 / スピン偏極発光 |
Research Abstract |
近年,有機電界発光素子(有機EL素子)へのスピン注入に関する研究が非常に注目されている.本研究では,強磁性陰極を有する有機EL素子を作製し,スピン注入により,素子の発光層のスピン状態を制御することによる,スピン偏極発光を観測することを目的とした.本年度(17年度)の研究内容と成果を以下に示す. 1・試料作製 スピン偏極発光観測のための有機EL素子として,「ガラス基板/透明陽極(ITO)/ホール輸送層(TPD)/発光分子層X/トンネル障壁層(Al酸化層)/金属陰極M」という構成の素子を,スパッタリング装置および真空蒸着装置により作製した.金属陰極Mとして,強磁性体のFeおよび,比較のために非磁性体のAlを用いた.発光分子Xとして,Al_<q3>および,Ir(ppy)_3を用いた.各材料を用いた素子の作製条件は,2・特性評価の2-1:基礎特性評価を通して最適化した. 2・特性評価 2-1:基礎特性評価 作製した素子の電気伝導特性を電流-電圧測定評価装置を用いて評価した.また,素子の発光特性を,発光スペクトル評価装置により評価した.これらを元に,素子作製条件の最適化を行った. 2-2:スピン偏極発光特性評価 スピン偏極発光測定システムにより,発光分子XとしてAl_<q3>,陰極MとしてFeを有する素子からのスピン偏極発光を観測した.そのスピン偏極度を評価した結果,素子の発光層の膜厚増加により,偏極度の減少が観測された.この振る舞いは発光層のスピン拡散長と関係があると解釈し,成果として,第66回応用物理学会学術講演会(平成17年9月)および,第29回日本応用磁気学会学術講演会(平成17年9月)において発表した.
|