2005 Fiscal Year Annual Research Report
絶縁体上の超平担表面誘起強磁性層の創成とそのスピン依存伝導特性に関する研究
Project/Area Number |
17760011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水口 将輝 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 特任助手 (50397759)
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Keywords | 薄膜 / 走査型トンネル顕微鏡 / アルミナ / 強磁性 |
Research Abstract |
表面誘起強磁性層の発現を目指し、金属超薄膜を絶縁体上にエピタキシャル成長させるための実験に着手した。成長後の表面構造を直接調べるために、超高真空を破ることなく蒸着チャンバから走査型トンネル顕微鏡チャンバへ試料を移動できるシステムを整え、その場観察を可能にした。最初に、酸化マグネシウム基板上に下地となる鉄をエピタキシャル成長した。走査型トンネル顕微鏡による観察の結果、鉄のステップ構造が確認され、平坦に成長していることが分かった。次にこの鉄薄膜上にアルミナの絶縁膜を成長させるため、アルミニウムの成長を行った。アルミニウム薄膜を3原子層成長し、走査型トンネル顕微鏡により表面構造の観察を行ったところ、アルミニウムもステップ構造を有する平坦膜となっていることがわかった。さらに、このアルミニウム薄膜を酸素雰囲気中で自然酸化し、表面構造を観察した。高さ方向の断面図から、このステップはアルミナの一原子層の高さに対応しており、非常に緩やかな酸化を行った結果、非晶質であるにもかかわらず極めて平坦な絶縁膜が作製できたことがわかった。続いて、この絶縁膜上に更に上部鉄電極薄膜の単結晶成長を試みた。三原子層の鉄薄膜を成長して構造を確認したところ、島状の構造が確認された。これは、期待していた平坦成長とは異なり、鉄が三次元的に成長してしまったことを意味する。原因としては、アルミナと鉄の表面エネルギー差が大きいため、鉄の濡れ性が悪く、膜厚の薄い領域では島状成長が優先的になると考えられる。今後は、最適な成長の組み合わせを探る研究に特化していく。
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