2005 Fiscal Year Annual Research Report
強磁性ホイスラー合金薄膜のスピンダイナミクスに関する研究
Project/Area Number |
17760014
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
水上 成美 日本大学, 工学部, 講師 (00339269)
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Keywords | スピンエレクトロニクス / 磁性 / ホイスラー合金 / 薄膜 / スピンダイナミクス / ダンピング定数 / 強磁性共鳴 / 周波数依存性 |
Research Abstract |
実施計画に基づき,以下のような多結晶強磁性ホイスラー合金薄膜の作製及びダンピングの評価を行った. 1.多結晶Cu_2MnAl薄膜の作製およびダンピングの評価 試料作製には超高真空三元共スパッタ法を用い,基板温度を20-350℃とした.構造解析の結果ではいずれの試料もL2_1規則相を示さなかったものの,基板温度が300℃の試料においてバルク値の約半分の飽和磁化(M_s)を示す強磁性試料が得られた.これらの多結晶Cu_2MnAl薄膜の強磁性共鳴(FMR)測定からスピン才差のダンピング定数(α)を評価したところ,M_sが最大となる試料でαは最小をとり,α〜0.03であった.この値はNiの報告値(α〜0.02)と同程度であり,M_sとαに強い相関があることがわかった. 2.多結晶Co_2FeAl薄膜の作製およびダンピングの評価 上記の結果を踏まえ,不規則構造でも強い強磁性を示すCo_2FeAlホイスラー合金薄膜の作製およびαの評価を行った.試料作製は上記と同様とし,室温製膜後に高真空中で熱処理を行った.構造解析から,いずれの温度の熱処理を行った試料も規則相を示さなかったものの,全ての試料で強磁性を示した.FMR測定から評価したαは最小で0.0037と非常に小さい値を示すことがわかった.現在より質の高い試料のαの評価を検討している. 3.FMRの電気的検出とその広帯域周波数依存性 スピン才差のダンピングの機構を詳細に調べるため,マイクロ波CWジェネレータ(本年度申請)を用いて6-18GHzのFMR測定系を構築した.FMRの検出には強磁性金属の磁化の才差運動の際に生じる直流電圧を測定する方法を用いた.この測定系を用いて従来容易ではなかったFMRの広帯域周波数依存性の測定に成功し,NiFe膜やCo_2FeAl膜のダンピングがギルバート型であることが分かった.現在この結果についての論文報告を準備中である.
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Research Products
(1 results)