2005 Fiscal Year Annual Research Report
放射光を用いた有機色素J会合体の構造相転移の観察と非線形光学素子への応用
Project/Area Number |
17760015
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
加藤 徳剛 早稲田大学, 理工学術院, 講師 (90329110)
|
Keywords | 分子性固体・有機導体 / 有機分子 / 光物性 / 表面・界面 / ナノ表面界面 |
Research Abstract |
水面上に形成したメロシアニン色素の2次元結晶(J会合体)の相転移を、SPring-8(兵庫県)の放射光を用いて観察した。SPring-8で斜入射光を用いたX線回折(XRD)の観察とX線吸収スペクトル(XAS)の測定を2回ずつ行った。相転移の挙動は、結晶が浮かぶ下層液に溶けている2種類の金属イオンの混合比、下層液の温度、イオンの組合せに依存し、相転移するとJ会合体の可視光反射スペクトルが変化する。イオンの組合せは、(Mg2+,Cd2+)、(Zn2+,Cd2+)と(Mg2+,Sr2+)について行った。可視光反射スペクトルの違いから、(Mg2+,Cd2+)と(Zn2+,Cd2+)の場合はtypeI,II,IIIの相、(Mg2+,Sr2+)の場合はtypeI,II,IVの相が、イオン混合比と温度の相図に表れることを明らかにした。 各相のXRD実験を行った結果、それぞれ分子配列構造が異なることを明らかにした。2つの相の構造解析に成功し、求めた構造をもとに分子励起子理論を用いた励起子準位の計算を行った。その結果、可視光反射スペクトルの違いが、分子配列構造の変化に起因することを明らかにした。 XAS実験では、色素に配位したイオンのX線吸収スペクトルを測定し、組成分析を行った。下層液は(Zn2+,Cd2+)と(Mg2+,Sr2+)を用い、相境界を横切るようイオン混合比を変えて、それぞれZn2+とSr2+のXASの測定を行った。(Zn2+,Cd2+)の時には相境界を横切ってもZn2+の濃度は線形に変化したの対し、(Mg2+,Sr2+)の時には相境界付近で、Sr2+の濃度変化の傾きに変化が観測された。相転移に対する金属イオンの役割について考察中である。 光学素子を目指したJ会合体ドープシリカの作製法の改良を行い、J会合体の高濃度化とシリカの透明性向上を行った。
|
Research Products
(6 results)