2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高密度磁気記録を室温・大気環境で実現するための新規な記録方式の開発
Project/Area Number |
17760022
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
長島 礼人 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (30277834)
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Keywords | 磁気記録 / スピンエレクトロニクス / 走査プローブ顕微鏡 / ナノコンタクト / 磁気輸送特性 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
非磁性金属/磁性金属の多層膜表面を反強磁性の金属酸化膜で覆い,この酸化膜に高密度のピンホールを意図的に作り込む.ピンホールを介したポイントコンタクトに流す電流の磁気輸送特性を,高密度磁気記録の新しい方式に利用する.概略以上のような新規な方式の開発を本研究は目的としている.この目的に向けて本年度は,以下の事を準備した. (I)試料作製のための環境・設備の整備:試料加熱機構を備えたマニピュレータヘッドの自作.金属蒸着セル(ルツボ型及び電子ビーム加熱型)の自作.上記セルのコントロール電源の自作.所望の蒸着速度を得るために必要な加熱条件の決定.真空槽内への酸素ガス導入システムの準備.真空ゲージコントローラの更新.イオン交換型純水製造機の導入. (II)磁気輸送特性計測のための機材・環境の整備:最大1Tを発生する常伝導マグネットの導入.上記マグネットのための冷却水及びDC電流のフェールセーフな供給システムの整備.既存の走査トンネル顕微鏡を上記マグネットに適合させるための架台の用意とこれへの移しかえ. (III)寸法・形状に再現性のあるポイントコンタクト形成のために,探針作製の機材準備:マイクロメータによる位置決め可能なエッチングステージの自作.エッチング回路を即断する電流コンパレータの自作.探針先端の自然酸化物を真空槽内で除去するための,探針加熱装置本体及び電源の自作. (IV)SEM観察の結果に基づく探針作製及び清浄化の指針確立:(1)エッチングに先立ち,酸素雰囲気下(10^<-6>Torr),2200Kのフラッシュ加熱をのべ数百秒繰り返すことでタングステン線内に蓄えられていた歪みを除去する.(2)J字管を用いてエッチングを行う事で,陰極で発生する水素ガスが陽極のタングステン線に付着し探針形状の再現性を損ねる問題を回避.(3)エッチング液(1規定のKOH)に浸かった残余のタングステン線が自重でちぎれ落ちた瞬間にエッチング反応を停止するように,コンパレータは適正な値(本システムでは1.0mA)に設定する.(4)探針先端の先鋭な形状(極率半径〜数nm)を損なわない適切な加熱条件を決定.
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