2006 Fiscal Year Annual Research Report
超高密度磁気記録を室温・大気環境で実現するための新規な記録方式の開発
Project/Area Number |
17760022
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
長島 礼人 山梨大学, 教育人間科学部, 助教授 (30277834)
|
Keywords | 磁気記録 / スピンエレクトロニクス / 走査プローブ顕微鏡 / ナノコンタクト / 磁気輸送特性 / 表面・界面物性 |
Research Abstract |
磁性金属薄膜の表面に反強磁性の薄い酸化膜を形成,更にこの酸化膜にピンホール(記録セル)を高面密度に導入する.走査トンネル顕微鐘の探針を用いて記録セルとの間にポィントコンタクトを形成し,このコンタクト領域に高密度の電流をパルス的に注入することで,所望のセルのみ磁化方向を反転させること,即ち記録の書込みを達成する.概略以上のような新規な方式の開発を本研究は目的としている.これに向けて本年度は,以下の事を行った. (I)試料作製のための環境・設備あ整備:Ni及びFeめ薄膜作製のための電子ビーム衝撃加熱型セル本体とコントロール電源の自作,および蒸着レートめ決定.試料の作製と測定を行う真空槽内部の真空度を,超高真空に到達させるためのべーキングシステムの用意,試料及び探針を真空槽内に,その真空は破ることなく,導入するためのロードロックシステムの構築. (II)磁気輸送特性計測のための設備の整備:ポイントコンタクトへのパルス電流注入用ファンクシヨンジェネレータ,電磁石駆動用電源,数台の計測用マルチメータ,以上の機器をコンピュータで連携制御するためのプログラムを自作,通常の用途で走査トンネル顕微鏡を使用する場合には,探針を試料表面に適正に接近させるための指標としてトンネル電流を用いる.ポイントコンタクトの輸送特性測定においては,大きな抵抗を直列に介在させ,試料バイアス電源を定電流モードで使用せざるを得ない.つまり,コンタクトに流れる電流値を探針接近の際の指標として用いることが出来ない.解決のため,ポイントコンタクトのコンダクタンスに指数関数的に依存した電圧を発生させるアンプを自作し,これをコンタクト形成の際の指標としてフィードバック回路に入力する方式を開発した. (III)試料作製・輸送特性評価の予備実験:自然酸化膜付のSi基板上へ,Cu, Au, Niを各々数十nmの厚みで堆積させた試料を作製,安定したポイントコンタクト形成のために解決すべき課題の洗い出しを行う.周期性のないSiの自然酸化膜上に堆積した上記薄膜試料が,法線方向については<111>配行していることを確認した.NiOが(111)分子層毎に磁化方向を反転させていることと考え合わせれば,上記の結果は,磁化のピン止め層としてNiOを機能せしめようとする本研究の意図にとって望ましい結果である.
|