2005 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン及びダイヤモンド表面上における窒素含有化合物の自己組織化に関する研究
Project/Area Number |
17760025
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
下村 勝 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (20292279)
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Keywords | ピロール / ピラジン / シリコン / 光電子回折 / 走査トンネル顕微鏡 / 表面反応 |
Research Abstract |
分子エレクトロニクス等への応用のため、良く定義された半導体表面上に有機分子を吸着させ、その構造や電子状態を調べることは意義深い。本年度は窒素を含んだ有機分子であるピロールやピラジンをシリコン表面に吸着させ、その吸着構造について走査トンネル顕微鏡(STM)や光電子回折(PED)により調べた。 STMによる研究によってピラジンは室温での吸着時にシリコンダイマー列間に存在することが分かった。このような分子吸着は極めて珍しい。この吸着構造についてPEDによって調べた結果、分子内の2つの窒素がシリコン原子と結合を持っていることが判明した。この吸着構造では有機分子と結合しない表面シリコン原子に不対電子が残される。このため表面上で重合と似た連鎖反応が進むことが予想される。実際、STMによって1次元状に並んだ有機分子鎖を確認した。本結果はPhys. Rev. B誌に掲載された。 STMによってピロールの吸着構造について調べた結果、ピロールはシリコンダイマーの直上に存在することが分かった。またダイマーの中心から微小なずれがあることを見いだした。さらに吸着種の近傍の表面シリコンのSTMにおける輝度が落ちていることから、吸着種の周辺のシリコンが水素等によって終端されていることが分かった。これらの情報から、吸着ピロールの構造がN-H, C-Hを開裂したモデルであることが類推される。今後、この結果を検証するためにPEDによる詳細な構造解析を行う。
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