2006 Fiscal Year Annual Research Report
シリコン及びダイヤモンド表面上における窒素含有化合物の自己組織化に関する研究
Project/Area Number |
17760025
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
下村 勝 静岡大学, 電子工学研究所, 助手 (20292279)
|
Keywords | ピロール / シリコン / 走査トンネル顕微鏡 / 表面反応 / 表面構造 |
Research Abstract |
分子エレクトロニクスへの応用のため、よく定義された半導体表面上に有機分子を吸着させ、その構造及び電子状態を調べることは意義深い。本研究では、窒素を含んだ有機分子であるピロール(C4H5N)やピラジン(C4H4N2)をシリコン及びダイヤモンド表面に吸着させ、その吸着構造について明らかにすることを目的としている。 前年度にピロールの吸着したSi(001)-2×1表面のSTM像から、その吸着構造を予想したが、本年度はこの構造について第一原理計算により、その妥当性を検討した。STMによる実験結果とシミュレーションの結果を比較することで、N-H, C-H結合を開裂した吸着構造であることが明らかになった。 また、下地基板をSi(111)-7×7表面とし、ピロールの室温での吸着表面のSTM観察を試みた。その結果、吸着物はセンターアドアトム上に優先的に吸着することが判明した。一部はコーナーアドアトム上にあるが、レストアトムサイトには無い。またSTMのバイアス依存性詳しく調べた結果、フェルミ準位付近の電子状態密度が非常に小さいことも分かった。以上の結果より、Si(111)-7×7表面上におけるピロールの吸着構造は、N-H開裂を伴い、センターアドアトム上にSi-Nの結合によって結合した構造であると予想した。この吸着モデルには窒素に近接する炭素の環境が分子状のピロールと同一である。このため、電子、光などによる励起によって重合反応を開始する可能性が高く、吸着分子同士の自己組織化による特異なナノ構造の形成が期待される。
|