2005 Fiscal Year Annual Research Report
ディレイラインディテクターを用いた飛行時間RBS、飛行時間ERDの開発
Project/Area Number |
17760028
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 薫 京都大学, 工学研究科, 助手 (80293885)
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Keywords | 高分解能RBS / 高分解能ERD / 飛行時間測定 |
Research Abstract |
高分解能ラザフォード後方散乱分光法(高分解能RBS)、高分解能反跳粒子検出法(高分解能ERD)はともに、固体の表面近傍(深さ数nmから十数nm)の元素組成を、高い深さ分解能(最高およそ0.2nm)で分析できる優れた組成分析法である。特に高分解能ERDは固体中の水素の濃度や深さ分布を調べることのできる数少ない分析法である。高分解能RBS、高分解能ERDは基本的には非破壊の分析法であるが、測定中においてイオン照射のため、軽元素とくに水素の脱離が起こる場合がある。本研究では、分析に要する照射量を低く抑えて分析試料をよりあるがままの状態で観察できるように、大型のディレイラインディテクターを用いた飛行時間RBS(TOF-RBS)、飛行時聞ERD(TOF-ERD)を開発することを目的としている。 今年度は、従来の高分解能ERD(比較的に立体角の小さい磁場型エネルギー分析器を用いた高分解能ERD)で、膜厚2-3nmの酸化シリコン(SiO_2)、酸化ランタン(La_2O_3)をシリコン基板(Si(001))に成長させた試料の、水素の深さ分布および水素の脱離速度の測定を行った。酸化シリコン薄膜の測定から、10^<-8>Torr台の真空では散乱槽内の残留ガスの試料表面への再付着が顕著であり、表面に再付着した水素原子がイオン照射によって試料内部に打ち込まれていることが分かった。この結果から、散乱槽のベーキング(焼き出し)によって10^<-9>Torr程度の超高真空を作ることが重要であることを確かめた。この成果を第17回イオンビーム分析に関する国際会議(セビリア市、スペイン、平成17年6月26日-7月1日)にて発表した。
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Research Products
(1 results)