2005 Fiscal Year Annual Research Report
単色分子線を用いた氷表面での化学反応の制御に関する研究
Project/Area Number |
17760034
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
近藤 剛弘 独立行政法人理化学研究所, 川合表面化学研究室, 基礎科学特別研究員 (70373305)
|
Keywords | 気体-表面間相互作用 / 非弾性散乱 / 純古典的2体剛体衝突モデル / ルテニウム表面 / アモルファス氷結晶化 / ヘリウム原子線散乱 / 反射赤外吸収分光 / 水分子単原子層 |
Research Abstract |
気体-氷表面間相互作用の制御に向けて,基礎的な気体-表面間相互作用の解析及び良く定義された氷結晶表面形成過程の解明を行った.また分子エネルギー散逸を解析する相互相関チョッパーを設計して構築した.以下に概要をまとめる. 1.気体-表面間非弾性衝突過程の解析 気体-表面間の最も基礎的な相互作用である非弾性衝突散乱に関して,分子の並進運動エネルギー,分子構造異方性,分子配向,分子重心位置,表面温度,及び表面ポテンシャルのナノスケール凹凸が及ぼす影響を超音速分子線散乱実験の結果と新たに構築した純古典的2体剛体衝突モデルに基づいて詳細に明らかにした. 2.Ru(0001)(単結晶ルテニウム)表面上における氷結晶成長過程の解明 Ru(0001)上における水(D_2O)分子の吸着構造は解離を伴わない分子状の吸着であること及び,解離のための活性化障壁は脱離の活性化障壁よりも高いことを昇温脱離計測による実験から明らかにした.ヘリウム原子線回折散乱計測及び反射赤外吸収分光計測により,Ru(0001)上での水の結晶成長過程はSKモードを取ることを明らかにした.また,Ru(0001)に微量の酸素が吸着すると水分子と下地との相互作用が大きく変調を受け,氷結晶の成長過程が変化することを明らかにした.さらにヘリウム原子線散乱,反射赤外吸収分光,及び等温脱離種計測を実時間で同時に行い,アモルファス氷薄膜層が結晶化する過程を非破壊且つ無擾乱に計測した.従来の等温脱離種計測に基づく結晶化に関する知見に誤りがあることを示し,結晶氷完成に至るまでのプロセスに関する新たなモデルを実験結果に基づき示すことに成功した.
|