2006 Fiscal Year Annual Research Report
単色分子線を用いた氷表面での化学反応の制御に関する研究
Project/Area Number |
17760034
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
近藤 剛弘 独立行政法人理化学研究所, 川合表面化学研究室, 協力研究員 (70373305)
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Keywords | 気体-表面間相互作用 / 非弾性散乱 / 純古典的2体剛体衝突モデル / ルテニウム表面 / アモルファス氷結晶化 / ヘリウム原子線散乱 / 反射赤外吸収分光 / 水分子単原子層 |
Research Abstract |
気体-氷表面間相互作用の制御に向けて,昨年度に引き続きRu(0001)(単結晶ルテニウム)表面上におけるアモルファス氷薄膜層の結晶成長過程の解明に取り組んだ。装置の改造を行い,通常の昇温脱離種計測が行える程度に四重極質量分析器付近のバックグラウンドガスを抑える工夫を施した.世界初となるヘリウム原子線散乱,反射赤外吸収分光,及び等温脱離種(ITPD)計測の実時間非破壊同時計測を行い以下の事柄を明らかにした。 1)論争中だったITPD解釈(アモルファス氷から過冷却水への変化を反映しているのか結晶氷への変化を反映しているのか)に決着をつけた:ITPDの脱離率の時間変化は結晶性を反映していることを実験的に証明した。 2)実験結果に対するAvramiモデルによる簡易な解析、及び詳細な理論モデル解析によりアモルファス氷薄膜層の結晶化はバルク内からのランダム核形成とそれに続く実効的な等方成長であることを実験的に明らかにした。 3)時間分解の反射赤外吸収分光計測の解析によりアモルファス氷から結晶氷に変化する際に(少なくとも振動分光の観点では)中間の安定相(過冷却水相など)を経由することはないことが明らかになった。 4)結晶化時に一定に保つ温度を様々に変化させて計測を行い、結晶化に必要な見かけ上の活性化エネルギーが650±25meVであることを明らかにした。 5)CO吸着表面で行った結晶化過程計測との比較から、結晶化の最中に下地表面が析出するほどのモフォロジー変化が起きていることを見出した。
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