2005 Fiscal Year Annual Research Report
偏極光近接場を用いた有機分子薄膜の光加工法に関する研究
Project/Area Number |
17760040
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大平 泰生 新潟大学, 自然科学系, 助手 (10361891)
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Keywords | 応用光学・量子光学 / 量子エレクトロニクス / 超薄膜 / 近接場光学 |
Research Abstract |
ナノメートルサイズの領域の物質近傍に局在する近接場光は,光電子デバイスで重要な構造である基板と電子や分子が光学的に結合する系の微細な光加工に適し,さらに,従来の光では成し得ない制御性をもたらすものと期待される.特に,光近接場の偏極は角運動量移行を伴う相互作用の源であり,分子や電子系の配向やスピンの局所的な制御性を可能にするものと予測される.本研究では,これらの基礎として,局部的に偏極した光近接場を利用した有機分子の機能性ナノ構造制御法を開発することを目的としている.特に,有機分子としては,光メモリ等へのさまざまな応用が期待されており,光で制御可能な異性体をもちユニークな光学特性を示すアゾ色素分子に注目し,偏極近接場光による分子の光泳動に基づいた分子薄膜光加工法と機能化を検討した.本研究課題の実施期間においては,まず,アゾ色素分子と近接場光との相互作用の素過程を明らかにするために,エバネッセント定在波ポテンシャル中でのアゾ色素分子薄膜の形状変化について詳細に調べた.その結果,近接場光の強度勾配に明確に対応した薄膜形状変化を観測するととともに,加工形状と寸法の入射光偏光種に対する強い選択性が明らかになった.さらに,エバネッセント波の重ね合わせにより生ずる偏極近接場光とアゾ色素分子の相互作用では,局部的な偏極状態に明確に一致した分子ドットの配列パターンが観測され,偏極近接場光におけるアゾ色素分子の光泳動現象が確認された.本研究の成果は,近接場光の偏極状態を用いた新たな有機分子マニピュレーション法の基礎となるものと考えられ,さらには量子効果を生かした高機能有機デバイスの開発等へも寄与するものと期待される.
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