2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760041
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
中山 敬三 近畿大学, 理工学部, 講師 (80324333)
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Keywords | 半導体レーザ / 液晶 / 戻り光 |
Research Abstract |
端面発光型半導体レーザに外部共振器を設けた戻り光半導体レーザとゲストホスト型液晶素子を組合せ、液晶素子による戻り光量制御に伴う戻り光半導体レーザの発振状態変化を、高速デジタルオシロスコープ、光スペクトルアナライザー等で観測した。 実験系は、液晶素子への印加電圧が0V、すなわち、液晶素子の透過率が最も低い状態において、戻り光半導体レーザの発振状態が安定となるよう、外部共振器長、NDフィルターを調節した。液晶素子への印加電圧を0Vから10Vで変化させることにより、用いた実験系ではレーザの出力光に対する戻り光量を0.031%〜0.076%の範囲で連続に制御できた。液晶素子の変化により戻り光量を増加させると、RFスペクトルにおいて緩和振動周波数を中心にノイズ成分の増加が観測された。それに対応し、フォトダイオードと高速デジタルオシロスコープで観測した出力光強度の時間波形においても戻り光量の増加に伴うノイズ成分の増加が観測され、標準偏差値の比較では7.6倍の変化であった。発振状態のこの変化は、液晶素子への電圧制御により可逆的に繰り返し制御が可能であった。しかしながら、光スペクトルの観測では大きな変化が生じておらず、完全なカオス状態にはなっていなかった。 しかし、NDフィルターの条件を変え、液晶素子による戻り光量変化の範囲を0.11%〜0.24%にさせることにより光スペクトルの可逆的な変化が観測された。 以上のことから、実験に用いた液晶素子の透過率の可変域が狭いため、液晶素子のみでは安定状態からカオス状態へ変化させることができなかったと考えられる。今後は液晶素子のセル厚、色素の吸収波長の最適化、液晶素子への反射防止膜の採用など、透過光量の制御幅を増加させる検討が必要である。
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