Research Abstract |
インターネットの普及,無線LANアクセスポイントの設置など,いつでもどこでもネットワークに接続できるユビキタス情報環境が提唱され,実現に向かいつつある.しかしながら,記憶の拡張を情報技術に求める場合,その情報セキュリティが課題である.切実な問題となるのは,人に尋ねられない,本人のみがアクセスを許されるような情報の表示である.視覚による情報の伝達は,最も重要な役割を果たす.どこでも,いかなる情報にもアクセスできる環境の実現には,情報表示のセキュリティ技術が必要である. 本研究では,復号用のマスクを通して限定された位置から観察するときのみ,暗号化された秘密画像を視認できるセキュアディスプレイ技術について,多階調の色つきの動画像を暗号化するための空間符号を構築し,実証した.表示画像は光学的に復号可能な形で暗号化されて,復号用マスクの有無と観察位置によって復号された秘密情報へのアクセス制限を可能にする.動画像の暗号表示では,フレームの切り替わり時に暗号化されたパターンが局所的に変化するため,その変化部分で秘密情報の形状が見える課題があり,秘密画像の情報を時空間的に暗号化する必要があった.そこで,の各画素を複数の画素で表す情報の空間展開符号化に,状態遷移を導入した暗号・復号のアルゴリズムを構築した.加えて,動画像の表示において積層された液晶パネルを用いたセキュアディスプレイを実現して,表示画像と復号用マスクの同時更新を行った.
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