2005 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー低温プロセッシングによるβ-鉄シリサイドのフレキシブル光素子作製
Project/Area Number |
17760053
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
奈良崎 愛子 独立行政法人産業技術総合研究所, 光技術研究部門, 研究員 (40357687)
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Keywords | β-鉄シリサイド / フレキシブル素子 / 微小液滴 / レーザーアブレーション / レーザーアニーリング |
Research Abstract |
フレキシブル素子は軽量・可撓性を兼ね備えるため次世代素子としての実用化が急務となっている。一方、β-鉄シリサイドは、地殻資源量が豊富で無毒性の元素からなる半導体であり、環境低負荷型の1.5μm帯近赤外発光材料として開発初期段階にある。そこで本研究では、レーザーアブレーション生成微小液滴を活用した独自のレーザー低温プロセッシングを駆使して、β-鉄シリサイドフレキシブル光素子の開発を目指す。本年度は、ポリマー基板上へのβ-鉄シリサイドの低温作製を検討し、PET基板上へβ-鉄シリサイド微結晶を室温析出できることを実証した。具体的には、真空容器中に設置した鉄シリサイド焼結体ターゲット表面にナノ秒KrFエキシマレーザー光を集光し、レーザーアブレーションを行った。生成したアブレーションプルームをPET基板に照射し、マイクロメートルサイズのドロップレットを室温堆積させた。得られたドロップレットの形状と結晶性をレーザー共焦点顕微鏡観察および顕微ラマン分光分析により調べた結果、ドロップレットは半球状構造を有し、その一部からβ相に帰属されるラマンピークを確認することが出来た。以上のように、レーザーアブレーション生成微小液滴を利用することでポリマー基板上へもβ結晶相を析出できることが明らかとなったが、ドロップレットのサイズ・堆積位置制御が難しいことが、デバイス化の阻害要因となってきた。そこで、新たにレーザー誘起前方転写法を導入し、鉄シリサイド微小液滴のパターニングを試みた。その結果、直径3.5μm、高さ1.3μmとサイズ均一化された鉄シリサイド半球をシリコン基板上にパターニングすることに成功し、今後、ポリマー基板への適用を目指す。また、優れた1.5μm帯発光性能を達成するためのβ-鉄シリサイド結晶の高品位化を目指し、パルスレーザーアニーリングシステムの構築を行った。
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Research Products
(2 results)