2006 Fiscal Year Annual Research Report
放射線による電子励起を利用した半導体放射線電池の開発
Project/Area Number |
17760061
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
河合 寿秀 (財)高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門・分光物性Iグループ, 協力研究員 (70399418)
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Keywords | 放射線電池 / 原子力電池 |
Research Abstract |
本研究では、半導体電極へのX線照射することにより電子-正孔対を発生させ,これにより起電力を得ることで、放射線のエネルギーを電気工ネルギーに直接変換する新しいタイプの電池の開発を目的として研究を展開した.本研究では,半導体としてはTiO_2の多孔質半導体電極をアノードに、白金等の安定な材料をカソードに用い、電解質にはヨウ素/ヨウ化物イオンの混合溶液などを用いて,電池の設計・製作を行い放射線電池開発の可能性を検討した.本電池の原理は次の通りである.放射線が照射されるとアノードの半導体電極が励起され,二酸化チタンの電位は負となる.一方,二酸化チタンの基底準位にできた正孔に電解質中のI^-が電子e^-を渡し,3I^-→I_3^-+2e^-の酸化反応が進み,カソードはこのI_3^-に電子を取られ正の電位を示す. 半導体電極に関しては,安定した起電力を得るためには,電極は放射線(X線)による損傷が少なく,かつ,放射線によって発生する電子-正孔にもとづく起電力によっても自己溶解することがない物理的・化学的に安定な電極であることが必要である.本研究では,基本的にはアノードとして二酸化チタンなどの電極を用い,溶液との接触面積を大きくするために多孔質として表面積を大きくしたものを用いた.カソードには黒鉛や白金を,電解質にはヨウ素/ヨウ化物イオンの混合溶液を用いた. 本研究ではアノードとして用いられる二酸化チタンを作成し,放射線の代わりとして,紫外線ランプを用いて起電力の生じるのを確認した.これはよく知られている本田・藤島効果によるものである.しかし本来の目的である放射線では起電力が小さくほとんど電気が流れなかった.これは紫外線ランプとX線との光子数の差が原因と思われる.このような電池タイプの電池を改善するには,X線に対する感度の向上,または線源の光子数が多いことが求められる.
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