2007 Fiscal Year Annual Research Report
離散最適化技法による行列束のロバスト数値計算とシステム解析への応用
Project/Area Number |
17760065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩田 覚 Kyoto University, 数理解析研究所, 准教授 (00263161)
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Keywords | 行列束 / Kronecker標準形 / アルゴリズム / 組合せ緩和法 / 微分代数方程式 / 大規模システム / ロバスト計算 / 組合せ最適化 |
Research Abstract |
行列束のKronecker標準形は,微分代数方程式で記述される動的システムの解析において本質的な役割を果たしている.しかし,標準形の摂動に対する感度が非常に高く,計算誤差の発生しうる数値計算によって正確な標準形を得ることには困難を伴う. 本研究課題では,計算誤差が発生し得ない組合せ的計算を利用することによって数値計算の負担を減らして,できるだけ正確な標準形を安定に計算する手法を確立することを目的としている.従来の研究の結果,Kronecker標準形の構造指数のうち,冪零指数に関して,2部グラフ上の最大重みマッチングを利用した組合せ緩和法が確立されている.本研究課題は,組合せ緩和法に基づいて行指数・列指数を計算するアルゴリズムの設計と計算機上での実現を目的としている. 昨年度までの研究成果より,周期的な構造を有する2部グラフ上の最大マッチングを計算することによって,行指数・列指数の推定値が得られることが明らかとなった. 本年度は,引き続き,組合せ緩和法の設計に取り組み,世界標準的なソフトであるGUPTRIで採用されているアルゴリズムよりも効率的な新たなアルゴリズムを得た.しかし,計算精度に関しては,GUPTRIの方が優れているため,現時点では,組合せ的な推定値とGUPTRIとを併用するのが,最も適切な計算法であるとの結論に達した. また,微分代数方程式の指数減少法への応用研究を行い,電気回路の数値解析手法として知られる混合解析の枠組みにおいて,最小指数を達成する微分代数方程式を導出する効率的なアルゴリズムを開発した.
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