Research Abstract |
1,Broydenクラスを用いたスパース準ニュートン法の超1次収束性の証明 BFGSなど一般的な準ニュートン法によって更新される近似ヘッセ行列は密な行列となるため,準ニュートン法は大規模な最小化問題に適用することができなかった.昨年度の研究において,行列の正定値補完と目的関数のヘッセ行列のスパース構造を利用することによって,少ないメモリーで実装できる準ニュートン法(スパース準ニュートン法)が提案し,DFP法を用いたスパース準ニュートン法が超1次収束することが示していた.今年度の研究では,より広いクラスであるBroydenクラスと組み合わせた提案手法が超1次収束することを示した.この結果,より高速な手法の開発の道が開かれた. 2,制約つき最小化問題に対するスパース準ニュートン法の提案 これまでの大規模な制約つき最小化問題に対しては,準ニュートン法による近似ヘッセ行列が使えなかったため,信頼領域法に基づいた技術によって大域的収束性を保証していた.しかし,信頼領域法では,部分問題として複雑な問題を解かなければならないため,アルゴリズムが煩雑になりやすく,理論的な収束性の解明が難しい.そこで,制約なし最小化問題に対するスパース準ニュートン法を制約つきの最小化問題に拡張し,それを用いた逐次2次計画法を提案した.数値実験より,提案アルゴリズムの有効性を確認した. 3,コーダル縮小を用いたスパース構造準ニュートン法の提案 上記のスパース準ニュートン法では,高速性を理論的に保証するため,疎構造に対応したグラフのコーダル拡張を用いる必要があった.しかし,コーダル拡張を用いると,問題によっては計算時間が大幅に増えることがあった.そこで,理論的な高速性を諦めるかわりに,実際に速く計算できるコーダル縮小を用いた手法を提案し,数値実験によって,提案手法の妥当性を調べた.
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