2005 Fiscal Year Annual Research Report
結晶方位解析および原子間力顕微鏡によるナノ結晶材料の疲労損傷の微視機構の解明
Project/Area Number |
17760076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
木村 英彦 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 講師 (60345923)
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Keywords | ナノ結晶 / 疲労損傷 / 微視機構 / 結晶方位解析 / EBSD / 原子間力顕微鏡 |
Research Abstract |
ECAP法により,ナノスケールの結晶を含有する超細粒材料を作製した.ナノスケールの結晶では粒界すべりが発生すると見込まれる一方,比較的粗大な粒では粒内すべりが発生すると考えられるため,粒内すべり変形の観察が比較的容易なCuを使用した.作製した材料の機械特性の評価,およびEBSD法によるひずみの評価に基づき,ルートBcの加工による12回の加工パスを施した場合に最適な素材ができることを確認した.また,EBSD法において10〜20ナノメートル程度の測定ステップでの計測を可能とするため,計測時のドリフトを最小限に留める操作方法ならびに,試料表面の仕上げ方法を確立した.これにより,結晶粒径が数十ナノメートルの結晶粒のEBSD計測が可能となった.また,得られた超細粒材料を熱処理することにより,粗大結晶を有する比較材を複数製作した. 平滑材に単軸の引張り負荷を与え,塑性変形過程における結晶方位解析を行った.測定領域として約500個の結晶粒を抽出し,塑性ひずみに対する結晶方位の変化や粒内のミスオリエンテーションの変化を計測した.この結果,数100ナノメートル以下の結晶粒において,粒内のミスオリエンテーションの変化が小さく,かつ結晶方位の回転が大きいことがわかった.つまり,これらの結晶粒では結晶が粒界ですべっていることがわかった.また,比較的粗大な結晶粒では,粒内すべりが観察され,これらに対してシュミッド因子やテイラー因子を適用した解析を行った.以上から,H18年度に取り組む疲労特性評価に重要となる静的負荷時の本材料の基礎データを得ることができた.
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