Research Abstract |
粉粒体モデルとして,四角形容器にランダム充填したプラスチック球の集合体を用い,その上表面の中心に,鋼球飛翔体(直径12.0mm)を衝突させ,その衝撃時の挙動を,2台の高速度ビデオカメラ(側面からと上方から)による撮影および三次元離散要素法によるシミュレーションにより,詳細に調べた.昨年に比べ,容器のサイズを8倍にし,容器の影響をできるだけ排除するようにした.また,プラスチックス球には約10万個のスチレン球(質量は三種類0.12g,0.25g,0.33g)を用い,球の質量の影響を調べた. 粉粒体の高速衝撃を支配する因子を調べるために,飛翔体の衝突速度(1〜25m/s)と衝突角度(0°〜65°)も変化させた.その結果,条件により飛翔体の挙動は,粉粒体の中に貫入したり,粉粒体に貫入しなかったりした(跳ね返るもしくは,貫入せずに,粉粒体の表面を沿うように進む).本実験の条件下では,Johnsonら(1976)の結果と異なり,飛翔体の挙動は飛翔体と粒子の密度比に加え,飛翔体と粒子の直径の比にも依存した.そこで,直径比を含むようにJohnsonらの実験式を改良した新しい式を提案した.また,飛翔体の衝突速度および衝突角度は,飛翔体の跳ね返り速度および粉粒体の飛散挙動に大きな影響を与えた.この現象が生じる要因を,離散要素法シミュレーションを用いて調べた.まず,昨年度に提案した粒子問の力学モデルのさらなる改良を行い,本年度の条件下でも力学モデルの妥当性を確認した.その力学モデルを用いて調べたところ,粉粒体中を伝わる接触力は400m/s程度で非常に遅いものの,その大きさおよび伝播方向が重要な役割を担っていることが分かった.
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