2005 Fiscal Year Annual Research Report
In vitro変形・損傷場におかれた骨細胞ネットワークの情報伝達メカニズム
Project/Area Number |
17760080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 基嗣 京都大学, 工学研究科, 助手 (30346085)
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Keywords | 骨細胞ネットワーク / 生体組織マトリクス / In vitro変形・損傷場 / メカノセンサー / カルシウム応答 / 細胞間情報伝達 / アクチンフィラメント / 細胞接着 |
Research Abstract |
骨基質内に存在する骨細胞は,骨梁に対する力学的負荷にともなって生じる骨基質の変形・損傷場を感知し,ギャップジャンクションにより形成した骨細胞ネットワークにより情報を伝達する働きを持っていると考えられている.しかし,骨細胞の力学的刺激感知・情報伝達メカニズムは明らかになっていないのが現状である.本研究では,まず,骨細胞および骨細胞ネットワークの力学刺激応答の素過程を解明すること,培養した生体組織マトリクスを用いてin vitroに変形・負荷を与え,その際の生体組織マトリクスの変形・損傷場を明らかにする,その際の骨細胞および骨細胞ネットワークの生化学的反応を詳細にその場観察することを目的とした.また,これらの情報をもとに,生体組織マトリクスの変形・損傷場と骨細胞ネットワークの生化学的反応の相互作用を明らかにすることを目的とした.本年度の成果は以下のように要約される. 1)生体組織から単離した骨細胞に対して,マイクロニードルを用いた局所力学刺激を与えた際のカルシウム応答をその場観察した.その結果,単離骨細胞は,細胞体への局所力学刺激に対してはカルシウム応答を発現せず,細胞突起根元部分への局所力学刺激に対してカルシウム応答を発現することがわかった. 2)単離骨細胞においては,カルシウム応答を発現させる細胞突起部分にのみアクチンフィラメントが局在していた.このことから,カルシウム応答特性とアクチンフィラメントの存在箇所の間には深い関連があると示唆された. 3)生体組織マトリクス(生骨組織)にマイクロニードルで局所変形を与え,組織中に埋まって存在する骨細胞のカルシウム応答をその場観察した.その結果,骨組織への変形付与に対する骨細胞のカルシウム応答をはじめて確認することができ,骨組織へのマクロな力学刺激付与と骨細胞のミクロな応答特性の相関について検討する新たな実験系を確立できた.
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Research Products
(6 results)