2006 Fiscal Year Annual Research Report
In vitro変形・損傷場におかれた骨細胞ネットワークの情報伝達メカニズム
Project/Area Number |
17760080
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 基嗣 京都大学, 工学研究科, 助手 (30346085)
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Keywords | 骨細胞ネットワーク / 生体組織マトリクス / In vitro変形・損傷場 / メカノセンサー / カルシウム応答 / 力学刺激定量評価法 / アクチンフィラメント / 細胞接着 |
Research Abstract |
骨基質内に存在する骨細胞は,骨梁に対する力学的負荷にともなって生じる骨基質の変形・損傷場を感知し,ギャップジャンクションにより形成した骨細胞ネットワークにより情報を伝達する働きを持っていると考えられている.しかし,骨細胞の力学的刺激感知・情報伝達メカニズムは明らかになっていないのが現状である.本研究では,まず,単離骨細胞について,力学刺激の定量化手法とその力学刺激応答特性の定量評価を試みた.次に,培養した生体組織マトリクスを用いてin vitroに変形・負荷を与えた際の生体組織マトリクスの変形・損傷場の評価法を確立し,その際の骨細胞ネットワークの生化学的応答特性を評価することを試みた.本年度の成果は以下のように要約される. 1)単離骨細胞の生化学的応答特性と情報伝達過程の定量評価 骨細胞の力学刺激感知メカニズムを検討するため,ニワトリ胚頭蓋冠より単離した単一の骨細胞について,マイクロビーズを用いた付与力学刺激定量評価法を考案し,局所力学刺激付与部位とカルシウム応答挙動の関連について検討した.その結果,細胞突起部位においては,細胞体部位と比べて高い確率でかつより小さい刺激量によってカルシウム応答が発生することがわかった.これより,骨細胞の力学刺激応答メカニズムにおいては,細胞内のアクチンフィラメント構造の局在による寄与が大きいことが示唆された. 2)生体組織マトリクスの変形・損傷場の評価法の確立 骨細胞の力学刺激感知メカニズムを明らかにするための第一歩として,細胞膜の免疫抗体染色と画像相関法を組み合わせて,組織内において骨細胞が受ける力学刺激量とそのカルシウム応答を同時に計測・観察可能な実験系を構築した.その結果,骨細胞周囲組織のひずみ,細胞突起および細胞体のひずみを定性的に導出することができた.また,骨細胞がカルシウム応答を発現させる瞬間における骨細胞および周囲組織のひずみ量を求めることができる手法を提案した.
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Research Products
(6 results)