2005 Fiscal Year Annual Research Report
水素環境中の疲労き裂進展挙動に及ぼす温度上昇による拡散係数増加の影響
Project/Area Number |
17760087
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
久保田 祐信 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (50284534)
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Keywords | 疲労 / 水素 / 疲労き裂進展挙動 |
Research Abstract |
燃料電池自動車などの水素エネルギー利用は実用・実証段階にある.今後,水素利用機器の普及が円滑に行われるためには,その疲労破壊を防止し,機器の安全性を確実にすることが極めて重要である.本研究の目的は,水素利用機器用材料の水素ガス中の疲労き裂進展特性を明らかにすることである.本年度は,水素ガス中で疲労き裂進展試験が実施できる疲労き裂進展試験装置の開発,比較用として大気中でのき裂進展挙動の取得,昇温環境を実現するための加熱装置の製作を行った.さらに,き裂進展試験はCT試験を用いた大きなき裂で行うために,進展特性の比較のために微小き裂の進展特性を得る実験も実施した.試験環境はガス容器と溶接ベローズによって大気と隔離されており,疲労荷重を負荷するための回転や摺動部を持たない構造として,水素ガス漏洩や大気混入の可能性が少ない構造を実現した.き裂を目的のK値とする疲労荷重と応力振幅の制御は,偏心カム式の負荷機構と2軸ボールねじステージの組み合わせにより実現した.き裂長さ測定は背面ゲージを用いたコンプライアンス法で行った.供試材としてオーステナイト系ステンレス鋼SUS304の溶体化処理材を用い,大気中の疲労き裂進展挙動を得た.今後は,水素ガス環境中での疲労き裂進展試験を実施する予定である.微小き裂進展試験は低合金鋼を供試材として行った.試験片は微小疲労き裂を初期欠陥として有する.水素チャージによりき裂進展下限界が大気中よりも低下し,き裂進展速度は増加することが明らかになった.供試材をステンレス鋼の強加工材とした実験では,水素チャージにより疲労寿命の低下がみられた.
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