2007 Fiscal Year Annual Research Report
生体融和チタン合金の自家骨結合過程における腐食疲労挙動とその機構の解明
Project/Area Number |
17760092
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
久森 紀之 Sophia University, 理工学部, 助教 (80317510)
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Keywords | チタン合金 / 腐食 / 疲労 / アバタイト / 微細構造 / 不動態 |
Research Abstract |
生体融和チタン合金にアパタイト核が析出・成長する過程およびラビット大腿骨と十分に結合した試験体を用い,流動式擬似体液環境(既設)下における電気化学計測器と疲労試験を組み合わせた腐食疲労試験システムを利用した腐食劣化挙動を把握する.特に本年度は,破壊に寄与する腐食や力学のパラメータを変化させることで,安全・安心なインプラントデバイスの提案を行った. (1) き裂の発生に必要な力学的効果を応力振幅(Hz)および繰返し荷重をパラメータとし,アパタイト析出能および結合能に及ぼす隙間腐食挙動と力学条件の影響について検討した. その結果,定電位(1V)を与えた状態で疲労損傷を加えると,不動態皮膜の破壊に伴い流れる電流密度の値は,周波数に依存して上昇する,また,破断繰返し回数とΔKの関係から耐食性を考慮すると,かかる回数はΔKの増加に伴って大幅に減少する.すなわち,疲労き裂進展過程において疲労損傷が腐食損傷に影響を及ぼすことが示された. (2) インプラントしたアルカリ処理チタンを摘出した後,チタン合金とアパタイト析出層および骨結合層の界面(密着)における力学特性評価を行った. その結果,荷重一変位曲線をStage1〜3に分離することで骨組織との密着状態を詳細に検討することが可能であり,密着強度および密着エネルギーの向上は骨組織との生化学的密着(直接密着)によるものと考えられる. 引き抜き時における骨とインプラント材との密着状態は,HA層内でのき裂発生,荷重が増加することに伴う骨へのき裂伝播,最終破壊の順に遷移することが明らかとなった. (3) チタン合金表面をアルカリ溶液で改質し,体内に埋入すると骨組成が傾斜構造で析出・成長する生体融和チタン合金を対象に長期間より安全に信頼性高い適用を目指し,チタン合金の弱部である隙間腐食と疲労損傷が同時に作用する相乗問題について解明した.
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Research Products
(2 results)