2005 Fiscal Year Annual Research Report
Siおよび次世代半導体基板材料の無欠陥加工メカニズムと最適加工環境・条件の解明
Project/Area Number |
17760099
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
清水 淳 茨城大学, 工学部, 講師 (40292479)
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Keywords | 半導体材料 / 研削 / 引っかき / 砥粒 / ダイヤモンド / セリア / 分子動力学 |
Research Abstract |
本研究は、各種半導体基板の無欠陥加工メカニズムおよびそのための最適加工環境および加工条件を明らかにすることを目的とする。その手法として、砥粒材質・形状、加工速度はもとより、加工環境・条件を広範に変化させて検討可能な微視的加工実験およびそれに対応する分子動力学シミュレーションを行なう。 平成17年度は、(1)環境制御型原子間力顕微鏡を用いたSi基板のナノ引っつかき実験、および(2)3次元分子動力学シミュレーションモデルの構築を図った。得られた成果を以下に示す。 (1)環境制御型原子間力顕微鏡を用いたSi基板のナノ引っかき実験 ダイヤモンドおよびセリア砥粒を用い、環境制御(大気、真空、高温)を行ないながらSi基板のナノ引っかき実験を行なった。その結果、ダイヤモンド砥粒を用いた場合、大気中室温では、引っかき痕の酸化による隆起の影響や水和膜形成による潤滑作用により、引っかき痕の深さは酸素や湿度の影響がない真空-室温での引っかき痕の深さより小さくなることを明らかにした。真空中高温では、Si表面が熱により活性化し、引っかき痕の深さが室温よりも大きくなることを明らかにした。セリア砥粒を用いた場合、大気中室温および真空中室温の引っかき実験結果から、引っかき痕の深さには酸素の影響がほとんどないことを明らかにした。真空中高温の引っかき実験により、温度を上昇させても、引っかき痕の深さに顕著な相違はみられないことがわかった。 (2)3次元分子動力学シミュレーションモデルの構築 Tersoffポテンシャルを使用し、ダイヤモンド砥粒によるSi基板のナノ引っかきシミュレーションモデルを構築し、真空中室温を想定したシミュレーションを行なった。その結果、シミュレーションにより、実験結果と同様に凹形状の引っかき痕の形成がみられることを確認し、無欠陥加工メカニズムの解明に対する、本シミュレーションの有効性を明らかにした。
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