2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760111
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
都丸 隆行 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 機械工学センター, 助手 (80391712)
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Keywords | 精密研磨 / 精密測定 |
Research Abstract |
本研究は、球状研磨粒子がどのように被研磨面に影響を与えるかを評価する事を目的とする。昨年度の研究では主として研磨機の整備、研磨粒子の分級、研磨基板の初期粗さ計測を行った。本年度の研究では、シリコン基板の研磨実験を行うと共に、被研磨面の計測、解析を行った。 まず研磨実験では、平均粒径φ8μmの球状シリカ研磨粒子を用いて、シリコン基板の研磨を試みた。シリコン基板は直径30mm、厚さ10mmで、研磨面にはあらかじめ光学研磨を施しておいた。つまり、平均粒径がφ8μmと大きな研磨粒子を用いて研磨面に積極的に研磨傷を付けて観察する戦略である。研磨条件は、回転速度150rpm、面圧15N、時間30min、研磨液濃度30w%(溶媒は純水)、研磨パッド:発泡ネオプレンの場合と、面圧10N、時間15min、潤滑用純水100mL/30min付加の場合の2パターンを用いた。予備実験の結果から純水に研磨粒子を溶かした研磨液だと滴下ノズルがつまったり、沈殿して濃度が変わってしまう事が明らかとなっていたため、一定間隔および均一濃度での研磨液の投入のために、ディスペンサーの導入と振動モーターによる攪拌を行い、これらの課題を克服した。また、研磨機自身の振動による研磨表面への影響をモニターするためにピエゾ加速度計を導入し、環境ノイズもチェックした。 研磨した表面の計測にはZYGO社製非接触表面形状測定器NewView6000を用い、2.5倍、20倍の対物レンズを使用して幅広いレンジの表面形状を計測した。NewView6000による計測では、初期の頃には神戸大工学部、以降は産総研の協力を得た。 計測データの解析では、表面形状のパワースペクトル(PSD)解析法を用いた。解析プログラムは、基本的に以前重力波検出器TAMAの鏡の解析を行った際に自作したものを使用したが、データの入力形式などが以前と異なるため若干の修正を加えた。解析の結果、表面形状のPSDは非常に滑らかであり、研磨粒子の粒径に対応したピークは現れないことを確認した。これは、球状研磨粒子が不用意な研磨傷を残しにくいことを意味しており、球状研磨粒子の長所を立証できたと考えている。またPSDによりNewViewはレンズによる癖があることも明らかとなり、表面形状測定器の性能に関しても新たな知見を与えた。
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Research Products
(2 results)