2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ気孔を有するセル構造体のトライボロジー特性の解明
Project/Area Number |
17760114
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 健 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50332515)
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Keywords | 気孔 / セル構造体 / トライボロジー / 摩擦 / 摩耗 |
Research Abstract |
本研究では,ナノ,マイクロサイズの気孔を有するセル構造体の接触機構の解明及びそれに基づくトライボロジー特性改善のためのセル構造の好適設計指針を明らかにすることを目的とする. 平成17年度では,緻密構造を有する普通鋳鉄材料FC250,成長黒鉛鋳鉄(気孔率:6.72%),成長黒鉛鋳鉄の切削粉を原料として開発された多孔質鋳鉄材料(気孔率:19.1%)の機械的性質及び含油条件下における摩擦・摩耗特性に及ぼす気孔率の影響を明らかにした.摩擦試験は,ボールオンディスク型摩擦試験装置を用いて,幅広いすべり速度,ヘルツ最大接触圧力条件下で行った.相手材には軸受鋼球(SUJ2)を用いた. 本年度の研究において得られた主な結果は以下のとおりである. 1.多孔質鋳鉄材料(気孔率:19.1%)のヤング率は,13.9GPaであり,成長黒鉛鋳鉄(気孔率:6.72%)のヤング率(24.3GPa)のおよそ2分の1,緻密構造を有する普通鋳鉄FC250のヤング率(179.1GPa)のおよそ13分の1の低い値を示す.このことから,気孔率の増加により,接触圧力緩和性の向上が期待できる.また,いずれの材料もほぼ同等の硬さ(ビッカース硬度)を示すことから,気孔率の増加にともない,接触破壊荷重Wcの増加が期待できる. 2.多孔質鋳鉄材料(気孔率:19.1%)の含油率は,2.3wt%であり,成長黒鉛鋳鉄(気孔率:6.72%)の含油率(0.75wt%)のおよそ3倍の含油率を示す. 3.含油条件下における多孔質鋳鉄材料(気孔率:19.1%)の焼付きを生じる臨界接触圧力は,成長黒鉛鋳鉄(気孔率:6.72)の約4.5倍,微量油潤滑下におけるFC250の約2.5倍の値を示す.このことから,気孔率の増加により,含油条件下において焼付きを生じる臨界接触圧力が増加することが判った.
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Research Products
(7 results)