Research Abstract |
本研究の目的は,意匠設計の過程において他者間での注目点を交換・共有することにより,潜在する感性を喚起させ,新たな視点から創造的な設計代替案を創成する支援システム(以下,注目点共有設計システム)の構築にある.また,注目点の共有条件による潜在感性の喚起を,被験者による実験により確認する. 17年度は,上記システムの構築のために,以下の二点について進めた.一点目は,自己の潜在的な注目点を推定し,注目する設計属性に基づいて意匠形状を創成する設計支援システムを開発し,それを用いて潜在感性の喚起を実験により確認することである.目的は,自己の注目点のみにより喚起される潜在感性の度合いの確認,最終的に目標とする注目点共有設計システムの基礎を構築することである.実験では,本システムと,従来の形状編集システムを用いて,嗜好,印象,および認知の3レベルのコンセプトに基づいて,意匠形状を生成させ,その結果の満足度と,新たに喚起された視点を比較した.その結果,従来システムに比べて,より多様な視点から同等の満足度の解を得られることを確認した.本研究の成果は,日本機械学会,日本知能情報ファジィ学会,および米国機械学会へ投稿中である. 二点目は,注目点共有設計システムの要素として,形状評価インタフェース,注目点の自動取得法,注目点からの形状生成法,注目点の共有方法を,それぞれ個別に検討した.購入したHMDと磁気センサにより,視点と行為を一致させる評価システムを構築した.注目点の自動取得はラフ集合を基礎とした方法により推定精度の向上について検討中である.注目点による形状生成法は,注目する形状特徴量を満たす形状を多目的遺伝的アルゴリズムにより探索する方法を検討中である.注目点の共有方法についても,同一注目点・異質観点,同一観点・異質注目点など,観点と注目点のパターンを条件として,最適な共有条件を検討中である.
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