2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760118
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 健太郎 東京海洋大学, 海洋工学部, 助教授 (60359693)
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Keywords | 水晶振動子マイクロバランス / 分子動力学法 / 超薄膜 / 添加剤 |
Research Abstract |
平成18年度は、水晶振動子マイクロバランス(QCM, Quartz Crystal Microbalance)を用いた液膜粘性評価の実験と分子動力学法を用いたシミュレーションを中心に行った。 QCMによる実験では、振動子の共振周波数を測定することにより振動子表面に吸着する液膜の粘性を評価することができる。ここでは、さらに積極的に表面に吸着して境界膜を形成する分子(添加剤分子)を用いてその効果が確認できるかを検証した。その結果、共振周波数の測定により、基油のみの場合と基油に添加剤分子を追加した場合とを判別できることを明らかにした。また、より表面に強く吸着する効果があるとされる末端官能基を持つ添加剤分子を加えた場合には表面近傍の粘性は高く評価された(共振周波数の変化が大きい)。これらの結果から固体表面近傍に形成される境界膜の物性の評価にQCMの利用は有効であると判断している(日本機械学会2007年次大会で発表予定)。 また、分子動力学法を用いたシミュレータについては、前年度に引き続き固体表面の電子状態が液膜の存在形態に及ぼす影響を調べている。特に、塗布工程での加熱処理の効果について明らかにした。加熱処理により表面から遠くにあって比較的自由に運動していた分子が表面近傍に移動し、より密な吸着膜を形成することが明らかになった(トライボロジー会議予稿集‘分子動力学法によるナノ薄膜のシミュレーション -加熱処理の効果-')。
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