2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760120
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
張 賀東 名古屋大学, 情報科学研究科, 助手 (80345925)
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Keywords | トライボロジー / 磁気記録 / ヘッドディスクインタフェース / 潤滑 / テクスチャ / 紫外線照射 / 表面・界面物性 / ナノデバイス |
Research Abstract |
ナノメートル厚さの液体高分子潤滑膜(PFPE)を塗布した磁気ディスク表面にフォトマスクを介して紫外線(UV)を照射して,テクスチャ構造を形成する条件を最適化するとともに,テクスチャ形成のメカニズムの解明を進めた.今年度に得られた結果を要約すると以下のとおりである. (1)これまでに,紫外線照射用のフォトマスクとしては,波長200nm以上のUVを対象とした汎用品を使用したため,UVが漏洩し,パターン形成条件を擾乱する問題があった.そこで,UVを完全に遮断できるようにCr層を厚くしたマスクを特注し,遮断性能を評価するとともに,テクスチャを効率的に形成するための照射時間を最適化した. (2)磁気ディスク表面に使用されているPFPE系の3種の潤滑膜(UV官能型潤滑剤,極性潤滑剤,無極性潤滑剤)について,UV照射/非照射の条件における潤滑膜の段差境界流動の比較,および潤滑膜表面のUV照射/非照射境界部におけるUV照射流動の比較により,UV照射の効果を評価するとともに,末端基の影響を明らかにした. (3)UV照射/非照射領域において分子膜の厚さに対する表面エネルギーの変化を測定し,照射領域では分離圧(膜厚に対する表面エネルギーの負の勾配)が高くなった結果から,照射境界における分離圧の勾配が,ナノ凹凸テクスチャ形成の駆動力であることを見出した. (4)直鎖状の潤滑剤高分子をばねとビーズ要素の結合と見なすばねビーズモデルに基づく分子動力学法を導入して,UV照射による相互作用状態の変化と分子膜分布の関係を再現することに成功した.これにより,シミュレーションにより,テクスチャ形成に影響する因子の探索が可能となった.
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