2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760122
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
奥村 哲也 長崎大学, 工学部, 講師 (10380817)
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Keywords | 分子動力学法 / 超薄膜潤滑 / 溶存分子 / 水素 |
Research Abstract |
潤滑剤中に溶存した成分の挙動について分子レベルで検討するため,分子動力学(molecular dynamics : MD)法を用いたプログラムを開発した.また,CGによる分子の可視化プログラム,計算結果のデータより速度分布,密度分布,移動量,動径分布関数などを求める解析プログラムを作成した. 本年度は,潤滑膜の厚さが数nm程度である超薄膜潤滑をモデル化したMD計算を行い,高圧力条件下における潤滑面近傍での溶存分子の挙動について検討を行った.固体壁面はα鉄とし,潤滑剤は,無極性の直鎖状分子であるn-ヘキサン,n-ヘキサデカン,環状分子のシクロヘキサン,極性分子の1-ヘキサノールを設定した.また,溶存成分は,水素利用機械システム内において想定される水素,酸素,水とした.温度300K,せん断速度100m/sの条件で計算した. その結果,次のような結果を得た. 1.水素分子の壁面への吸着は,酸素分子に比べて多い. 2.潤滑膜内部における水素分子の移動量は,酸素分子に比べると大きい. 3.上記1および2は,潤滑面の停止時に比べて,せん断時において顕著に増加する. 4.潤滑剤の分子構造に起因する柔軟さが溶存分子の吸着性に影響を及ぼす. 5.溶存分子が極性を持つ場合,潤滑剤の極性の有無が溶存分子の挙動に影響を及ぼす. 6.潤滑膜の圧力や壁面近傍での潤滑剤分子の層構造など,潤滑剤の密度が溶存分子の挙動に影響を及ぼす.
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