2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760122
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
奥村 哲也 長崎大学, 工学部, 講師 (10380817)
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Keywords | トライボロジー / 混合溶液 / 分子動力学法 / 吸着 / 溶存分子 / 分子構造 |
Research Abstract |
潤滑剤中に気体分子が溶存した場合,トライボ特性に影響を及ぼす可能性があることが指摘されているが,そのメカニズムは解明されていない.本研究では,分子シミュレーションを用いた解析を行い,せん断場における潤滑剤中の溶存気体分子の挙動について検討した. 数値解析には分子動力学法を用い,2つの固体壁面とその間に配置した潤滑剤によって潤滑面をモデル化した.潤滑剤は直鎖状または環状の炭化水素とし,この中に水素,酸素,水が溶存した状態で解析を行い,以下の結果が得られた. ・せん断により,溶存分子の潤滑剤中における移動および壁面への吸着が誘起される. この移動量および吸着量は,水素分子>酸素分子である. ・高圧下では,相対的に溶存分子の移動量が小さい. また,潤滑剤分子の層構造と溶存分子の移動量に相関が見られる. これらは,潤滑剤の密度が溶存分子の挙動に影響を及ぼすことを示唆している. ・溶存分子が壁面に吸着する位置は,壁面に吸着した潤滑剤分子の隙間である. そのため,分子間に隙間が出来やすい,変形しにくい潤滑剤分子の場合に吸着量が多い. ・潤滑剤が直鎖状分子の場合,鎖長によって溶存分子の移動量が異なる傾向がみられるが,更なる検討が必要である. ・潤滑剤が無極性分子の場合には水分子は潤滑剤中に偏在するが,潤滑剤が水酸基を持つ分子の場合には潤滑剤中に分散する.潤滑剤分子と水分子との間に水素結合を形成することによる. ・以上の結果は,潤滑剤の分子構造が溶存分子の挙動に影響を及ぼすことを示唆している.
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Research Products
(3 results)