2005 Fiscal Year Annual Research Report
PEFC電極触媒表面での解離吸着現象に関する量子・分子動力学的解析
Project/Area Number |
17760131
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
徳増 崇 東北大学, 流体科学研究所, 助教授 (10312662)
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Keywords | 分子動力学 / 燃料電池 / 電極反応 / 解離確率 / 触媒 / 解離障壁 / 熱運動 |
Research Abstract |
Ptはガス改質など様々な用途で触媒として利用されており,近年さかんに開発が行われている燃料電池の電極触媒としても多く用いられている.しかしながら,このようなテーマに関する実験的な研究は数多く行われているが,ナノスケールで起こっている触媒反応のメカニズムを実験だけで解明することは困難であり,分子レベルでの詳細な解析を行う必要がある.上記の理由により,本研究では触媒としてPtを取り上げ,また燃料電池の触媒反応の中で最も簡単な反応であるH_2の解離吸着現象に注目して解析を行った.計算手法としては,Embedded Atom Method (EAM)を使ったMolecular Dynamics(MD)法を用い,Pt表面上におけるH_2の解離吸着現象を解析した.まず,本解析の精度を検証するためにPt表面上に形成される電子密度の計算結果をDFTの計算結果と比較した.さらに,解離吸着現象にとって重要なPt表面と表面上にある分子との相互作用について,EAMを用いた計算結果とDFTの計算結果との比較を行った.その後Pt表面にH_2を多数回衝突させるシミュレーションを行い,Pt表面の状態やH_2のエネルギー状態の違いによるH_2の解離確率の変化について解析を行った.その結果,EAMの電子密度計算によるPt(111)上の電子密度はDFTによる電子密度よりも低く現れていることが確認され,DFTとの一致はまだ不十分であるが,吸着位置の傾向はDFTと一致することが確認された.またPt(111)でH_2が解離するときのエネルギー変化やHの原子間距離とPt表面からの高さを解析することにより,解離・吸着の様子を確認することができた.
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