2006 Fiscal Year Annual Research Report
水環境評価に向けた湖沼など短フェッチ域波浪解析モデルの開発
Project/Area Number |
17760135
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中村 恭志 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 助教授 (40323315)
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Keywords | 浅水域 / 短フェッチ / 波浪推算モデル / CIP法 / 霞ヶ浦 / 四次元エネルギー平衡方程式 / 現地観測 / 並列計算 |
Research Abstract |
H17年度に行った「観測結果に基づく湖沼域での代表的スペクトル形状の推定」と「CIP法を用いた1次元エネルギー平衡モデルの開発」に関する知見を基に、本年度は実際の霞ヶ浦における地形条件や湖上風場の変動などを考慮しうる2次元解析モデルの開発を行った。特に、湖岸形状や風場の2次元的分布等を考慮しうる、空間2次元モデルへの拡張を行った。採用したモデルは波浪の周波数及び波向を考慮する4次元エネルギー平衡方程式とすることから、計算負荷の増大が空間2次元における計算では難点となる。これを解決する方法として、複数の計算機を用いる並列計算プログラムを行った。並列計算を実行する計算機クラスターをPCの汎用部品を用いて構築した。構築した並列プログラムを実際の霞ヶ浦の地形条件を元に計算をした結果、計算モデルとして非線形生成項を採用することで効率的な計算速度の向上が実現できることを確認した。また、入力条件として用いる風場の推定として、一般に局地的な風場の2次元分布を現地観測のみから得ることは困難であることから、風場推定モデルとして質量保存則に立脚するMASCON法を用いて気象庁発表の客観解析データから任意の場所・時間での局所的な風場を現地観測データを用いずにある程度推定可能な数値プログラムを開発した。開発したモデル及び推定された風場を用いて霞ヶ浦における実際の波浪推定に適用したところ、有義波高では若干のずれがみられるものの有義周期や空間的な波浪分布はおおむね観測結果を再現できることを確認した。本年度得られた知見を元に、現在さらなる詳細な比較検討を進めており、学術紙への投稿を準備中である。
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