2006 Fiscal Year Annual Research Report
壁乱流のマルチスケールダイナミクスの解明とLESに適した壁面境界条件モデルの開発
Project/Area Number |
17760136
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
坪倉 誠 電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (40313366)
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Keywords | 壁乱流 / マルチスケール / LES / 境界条件 / 乱流構造 |
Research Abstract |
本研究ではLES、およびDNSを併用したハイブリッドLESを適用することで壁乱流の空間構造を解析し、ミクロスケールからマクロスケールに至る乱流構造の相互作用に着目し、そのマルチスケールメカニズムを解明することを目的とする。得られた知見を基に、LESに適した人工的壁面境界条件モデルの開発を目指す。上記研究目的に対して、本年度は下記(1)(2)の課題に対して検討を行った。 1.「高レイノルズ数壁乱流の大規模乱流構造解析とマルチスケールダイナミクスの解明」 初年度は壁乱流の外層域に現れる大規模乱流構造に着目し、その普遍的特性や内層微小渦構造との関連性から運動メカニズムの解明を行った。これらの知見を基に本年度は、壁面に対して工学的にしばしば見られる粗面を想定し、滑面時に現れる微細渦構造を動的に破壊した上で外層の大規模構造の運動を観察し、マルチスケールダイナミクスのさらなる解明を目指した。外層上層に見られる大規模構造(境界層厚さスケール)は壁面近傍構造に対して普遍的な構造を持つのに対し、対数則域(オーバーラップ領域)に見られる超大規模構造(境界層厚さの十数倍)は壁面近傍構造と強い関係を持つことが明らかになった(米物理学会その他で発表)。 2.「マルチスケールダイナミクスに基づくLES人工壁面境界条件モデルの開発」 Spalartらにより提案されているLESとRANSのハイブリッドモデルであるDetached Eddy Simulation (DES)を高レイノルズ数壁乱流解析に適用し、ハイブリッドモデルを用いた場合の乱流構造の再現性を、昨年度までの解析で得られたマルチスケールダイナミクスの知見から詳細に検討した。結果、内層の構造を再現しないRANSを用いた場合にも外層上層には普遍的な大規模構造が再現されるが、この外層構造が発達するための人工的バッファ層が対数則域に発生し、この結果対数則が実験値から逸脱することが明らかになった。この物理構造は(1)で調べた粗面における粗面サブレイヤーの物理構造と類似であり、次年度は(1)で得られた知見を基にハイブリッド型人工壁条件モデルの改良を行う。
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