2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17760138
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
菊地 聡 岐阜大学, 工学部, 講師 (40312665)
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Keywords | 翼 / 地面効果 |
Research Abstract |
17年度は、主に翼が地面や水面などの境界付近を移動している時に、揚抗比が境界面に近づくにつれ急激に向上する現象である地面効果の発生メカニズムを明らかにするための風洞実験を行った。 地面効果の風洞実験を行うには地面の模擬を行う必要があり、この地面模擬法には、ムービングベルト法、固定地面板法、鏡像法などがあるが、PIVによる翼下面の流速計測を行う関係から、固定地面板法を用いた。翼モデルとしては、東北大学の地面効果翼機エアロトレインで使用されている翼形NACA6412mを用い、この翼モデルと地面板の間隔を変化させて実験を行った。翼に働く空気力の測定には、3分力検出器を使用し、翼モデルに働く揚力、抗力を測定した。また、翼周りの流速をPIVにより計測した。過去の研究では翼下面の計測はほとんど行われていないので、本研究では特に翼下面の流速に注目して流速測定を行った。 空気力測定の結果、翼と地面板の距離による揚力、抗力の変化は過去の結果と定性的に一致しており、地面効果が正常に発生していることを確認した。流速測定の結果、翼が正の迎角で翼下面と地面板の間の流路が狭くなる時には、翼下面の流速は、翼前縁から後縁に向かって流速が速くなり、翼後縁付近で翼下面の圧力が低くなることがわかった。また、地面効果が有効に働いているときには、地面効果が働いていないときと比較して、翼前縁よどみ点が翼下面側に移動していた。よどみ点は、翼の上面と下面の流れの分岐点となるので、よどみ点が翼下面の下流方向に移動しているということは、翼上面への流れが増え、下面への流れが減少することを示している。これは、下面の流れが遅くなり、下面の圧力が上昇し、揚力が増加する。つまり、よどみ点の移動が地面効果発生の一因となっていることがわかった。
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