2005 Fiscal Year Annual Research Report
キャビテーションの熱力学的効果に基づくポンプ吸込性能の評価と予測
Project/Area Number |
17760150
|
Research Institution | Yatsushiro National College of Technology |
Principal Investigator |
田中 禎一 八代工業高等専門学校, 機械電気工学科, 助教授 (00300658)
|
Keywords | 流体機械 / キャビテーション / 熱力学的効果 / ポンプ吸込性能 / 極低温流体 |
Research Abstract |
本研究では、液体窒素を作動流体とするポンプシステムを用いて、ポンプ内部の圧力の計測及びキャビテーションの可視化を行うことにより、ポンプ内部流れとキャビテーション挙動との関係を明らかにするとともに、それらの結果を熱物性の異なる水を作動流体とした試験結果と比較することによって、キャビテーションの熱力学的効果に基づくポンプ吸込性能の評価を行おうとしている。また、ポンプ内キャビテーション流れ場のCFD解析を行い、その結果を実験結果と比較検討することによって、極低温流体圧送用ポンプの吸込性能予測技術の確立をも目指している。 本年度は、液体窒素を作動流体とした現有供試ポンプの定常特性及び吸込性能を測定し、予め測定されている水試験結果との比較から、キャビテーションの熱力学的効果によるポンプ吸込性能の改善を確認すると共に、実験結果から熱力学的効果によるポンプ吸込性能の改善に寄与する実験パラメータの抽出を行った。実験の結果、液体窒素作動時のポンプ吸込性能は、水を作動流体とする場合に比べ、NPSHにして約2.5mも改善することが確認された。この吸込性能の改善は、キャビテーションの熱力学的効果に起因したものであると考えられる。一方、ポンプ吸込性能の改善に寄与する実験パラメータの抽出は、供試ポンプ羽根車の吸込性能上、十分なNPSH範囲での実験ができなかったため、パラメータを大きく変更した実験ができなかった。しかしながら、同じポンプ吐出し流量でも、吸込温度の変化によって、ポンプ吸込性能が変化することが確認された。このことからキャビテーションの熱力学的効果が作動流体の温度にも影響を受けていることが明らかとなった。 これらの実験結果は、次年度の実験に用いるポンプ内圧力分布計測用及びキャビテーション可視化用吸込ケーシングの設計、また、十分なNPSH範囲での実験を可能とするためのポンプ羽根車の設計に用いられた。
|