2006 Fiscal Year Annual Research Report
キャビテーション気泡群のための大規模シミュレータの開発および理論解析
Project/Area Number |
17760151
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
井田 真人 独立行政法人日本原子力研究開発機構, システム計算科学センター, 研究職 (60391356)
|
Keywords | 気泡 / 気泡群 / 気泡力学 / 数値流体力学 / キャビテーション / シミュレーション / 振動工学 / 自由表面流れ |
Research Abstract |
本研究課題は、液体中の圧力変動を受けて体積振動する複数の気泡のダイナミクスを解析するための数値シミュレータの開発と、理論解析による気泡群の物理の解明を目的とするものである。平成18年度は主に、原子力機構内の実験グループとの共同研究から、本研究課題の実際的な問題への応用可能性を広げる成果を得ることができた。 原子力機構は現在、J-PARCプロジェクトの一環として中性子源としての大強度陽子加速器と水銀核破砕ターゲットの開発を行っている。この開発現場で現在、水銀中で起こるキャビテーションと、それによって引き起こされるターゲット寿命の著しい低下が深刻な問題となっている。平成18年度には研究代表者もこのプロジェクトに参加し、気泡間相互作用に関する知見を生かした議論を行った。これまでに行ったのは主に、水銀を用いた模擬実験から得られた観測結果に関する検討や、水銀中キャビテーションの基本メカニズムについての数値的・理論的解析である。これらにより既に、水銀中に発生したキャビテーション気泡の挙動に気泡間相互作用が強い影響を与えていることや、気泡間相互作用までを考慮した理論モデルによって実験から得られたキャビテーション気泡の成長率を上手く説明できること等を明らかにしてきた。ここで得られた研究成果の一部は既にPhysical Review誌にて公表されている。今後も水銀中キャビテーションの抑制技術の開発などに関して、実験グループとの共同研究を継続していく予定である。 シミュレーション手法については昨年度に引き続き、時間的・空間的マルチスケール性を持つ気泡群を扱うのに適した時間積分法と計算格子系についての検討と、計算スキームの質量・エネルギー保存性能についての予備的な解析を行った。
|