2007 Fiscal Year Annual Research Report
キャビテーション気泡群のための大規模シミュレータの開発および理論解析
Project/Area Number |
17760151
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
井田 真人 Japan Atomic Energy Agency, システム計算科学センター, 研究職 (60391356)
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Keywords | 気泡 / 気泡群 / 気泡力学 / 流体工学 / キャビテーション / シミュレーション / 核破砕中性子源 / 高エネルギー科学 |
Research Abstract |
本研究課題は、圧力変動を受けて体積振動する複数気泡のダイナミクスを解析するための数値シミュレータの開発と、理論・数値解析に基づく気泡群の物理解明を目的とするものである。平成19年度には主に、原子力機構J-PARCセンターとの共同研究のもと、水銀中キャビテーションの抑制手法に関する検討を行い、本研究課題の応用先の明確化をねらった。 原子力機構と高エネルギー加速器研究機構は現在、J-PARCプロジェクトの一環として中性子線を作り出すための水銀核破砕ターゲットの開発を行っている。研究代表者は過去2年余り、この開発の現場で深刻な問題となっている水銀中キャビテーションと、それによって引き起こされる損傷の解決に取り組んできた。今年度は主に、J-PARCセンターが水銀中キャビテーションを抑制する目的で試みている『気泡注入』について議論し、その効果の一端を明らかにすることに成功した。J-PARCセンターにおいて得られた基礎的な実験データを基に数値解析を実施し、水銀中に故意に流し込まれたガス気泡がキャビテーションの引金になる液体中の負圧を減少させ、それによってキャビテーションの発生が抑え込まれること、つまり、ガス気泡とキャビテーション気泡の間でなされる相互作用がキャビテーションを抑制することを見いだしたのである。これは水銀核破砕ターゲットの長寿命化・高出力化に貢献する成果である。本成果の一部は既にPhysical Review誌とNuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A誌にて公表されている。 なお、シミュレーション手法については昨年度に引き続き、マルチスケール性を持つ気泡群を扱うのに適した時間積分法や計算格子系についての検討と、計算スキームの質量・エネルギー保存性についての解析を進めた。
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