2005 Fiscal Year Annual Research Report
カオス時系列解析を用いた脈診波形の解析に関する研究
Project/Area Number |
17760187
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
増本 憲泰 日本工業大学, 工学部, 講師 (80312081)
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Keywords | モデリング / 脈診 / 時系列解析 / カオス / 中医 / 故障診断 |
Research Abstract |
脈診法は中医で用いられている診断法の一つで,両手首等の動脈血管壁に指先を押し当てて脈波を感じとり,過去の経験に基づいて身体の状態を非侵襲的に診断する手法である.特に,手首の動脈に対する脈診法は,センサとして第2指(人差し指),第3指(中指),第4指(薬指)の指先が用いられるが,血管の押さえ方が数十通り存在する非常に複雑な手法であるため,優秀な脈診専門医は激減の一途をたどっている. 脈診法のメカニズムは機械構造の故障診断法に類似しており,2年間にわたる本研究の最終目的は手首で行われる脈診法の工学的再現に置かれている.平成17年度は,遼寧省中医研究院(中国遼寧省瀋陽市)の中医研究者から適切な助言を得ながら脈診センサを開発すること,また臨床データの取得という観点で大連中医病院(中国遼寧省大連市)の中医師と意見交換を行うことを主な目標とした. まず,過去に試作した指1本分の脈診センサについて,研究に耐えられる構造への改良および増幅回路の見直しを行い,センサとしては小型のコンデンサマイクを利用することとした.また,脈波データをコンピュータ計測するための計測ソフトウェアを開発し,新規導入したFFTアナライザやファンクションジェネレータ等を用いながらシステム全体の改良を重ね,平成18年2月にようやく指1本分の研究用脈波計測システムの構築が完了した. 初年度研究期間の都合上,構築した指1本分の研究用脈波計測システムについて,大連中医病院にて同病院の中医師ら(張有民副院長はじめ5名)と臨床データ取得の観点で意見交換を行った.改良点について,また指3本分のセンサを試作する際の留意点について各々の専門的立場で検討した結果,年齢や性別に対する汎用性を確保することが重要であるとの結論に至り,平成18年度は指3本分のセンサを埋め込んだロボットハンド型脈診センサの開発を目標とすることとした.
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